新日本プロレス29日後楽園ホール大会「ベスト・オブ・ザ・スーパージュニア」公式戦で、エル・ファンタズモ(35)が前年度覇者・高橋ヒロム(31)を撃破し3勝目を挙げた。

 異様な威力を誇るサドンデス(トラースキック)から「疑惑の右足」と呼ばれて久しいファンタズモはこの日の試合前、ヒロムからシューズのチェックを要求される。渋々と応じて靴を脱いだが、その中に問題は見当たらない。さすがにヒロムも「アイムソーリー」と謝罪するしかなく、晴れて潔白が証明されて試合開始のゴングを聞いた。

 このチェックの影響か、一撃必殺のはずのサドンデスを顔面にさく裂させてもヒロムは倒れない。しかしファンタズモはレフェリーと衝突させたヒロムを急所攻撃で悶絶させると、リング下に降りて新しい靴に履き替える。履き替えた靴に何らかの細工がされているかは確認できないが、もはや怪しさしかない。

 ファンタズモは回復したヒロムと一進一退の攻防を展開。TIME BOMBⅡを切り返してスタイルズクラッシュを決めると、片翼の天使をためらった末にCRⅡを狙う。これを切り返されトラースキック、ヒロムちゃんボンバーを浴びてしまったが、引き起こそうとするヒロムのスキを突いてついにサドンデスを一閃。そのまま3カウントを奪ってみせた。

 ヒロムからは「才能のムダ遣い」と挑発されていたファンタズモだが、一矢報いる勝利で己の存在価値を証明した。試合後のリングでは「俺はたったいま、あることに気付いてしまった。バレットクラブ(BC)の過去の亡霊のことは忘れ、BCのリアルフューチャーだけを見て進んでいくべきだってな。俺がこのBOSJを制し、そのまままっすぐレッスルキングダム(1月4、5日東京ドーム、1月8日横浜アリーナ)に進む。ジェイ(・ホワイト)、もしお前がその舞台に上がらないというのなら…」と意味深な言葉とともに肩をすくめマイクを投げ捨てた。

 BCのリーダーであるジェイは、今年5月の福岡大会を最後に国内の新日本マットに上がっていない。ファンタズモの発言により、ユニット内に何やら不穏な気配が漂ってきた。