史上初の快挙へ大きく前進だ。新日本プロレス「G1クライマックス」Aブロック公式戦(3日、愛知県体育館)で、前年度覇者の飯伏幸太(39)がIWGP世界ヘビー級王者・鷹木信悟(38)を撃破し4勝目(不戦勝1を含む)を挙げた。7月25日東京ドーム大会での王座戦がかなわなかった特別な相手との一戦を制し、3連覇へ自信を深めた男はしっかりと今後の青写真を描いている。

 同い年の「昭和57年会」のライバルにして優勝候補同士の公式戦は、壮絶な意地の張り合いとなった。試合が動いたのは20分過ぎだ。王者の〝秘策〟パンピングニーを浴びて窮地に陥った飯伏だが、カウンターのハイキックからカミゴェで逆転。なおも粘る鷹木のラスト・オブ・ザ・ドラゴンをリバースフランケンシュタイナーで切り返し、ジャンピングニーから後頭部へのカミゴェを発射。最後は正調カミゴェで激闘に終止符を打った。

 ただの公式戦ではなかった。鷹木に挑戦予定だった東京ドーム大会は誤嚥性肺炎により無念の欠場。プロレスラーとして最高の舞台で戦う約束を果たせなかったからだ。

 今回の鷹木戦前、本紙の取材に「敵なんだけど迷惑をかけた。期待を裏切ってしまったので、今回の試合で返したい。鷹木信悟って、真っすぐな男だから。試合で全力でぶつかるのが鷹木への返し方。より彼が喜ぶ方法としては、こっちが全力で今まで以上に能力を上げてレベルアップした飯伏幸太でぶつかることじゃないかって」と明かしていた。

 その言葉通りの姿を見せつけ、試合後は「鷹木、この1勝はでかいぞ。次、そのベルト返してもらおうか」とG1制覇からのベルト奪回を堂々と宣言した。

 史上初となる3連覇へ前進した飯伏は、進出すれば実に4年連続となる優勝決定戦(21日、東京・日本武道館)の相手にIWGP・USヘビー級王者の棚橋弘至を熱望する。「オカダ(カズチカ)もヤバそうだけど、一番上がってきてほしいのは神ですね。この間、負けてるというのもあるし、18年の優勝決定戦でも負けてるんで。タッグパートナーでもあり、前は『神、神』言っていたけど、ライバルでもある。この間、果たせなかった恩を今度こそ勝って返したい」

 欠場からの復帰戦となった9月4日のメットライフドーム大会では棚橋のUS王座に挑戦して敗れたが、復活の舞台をつくってもらった恩がある。加えて3年前の優勝決定戦のリベンジも果たせれば、最高の形での快挙達成となる。

 今年味わった数々の悔しさを乗り越えて、G1にめっぽう強い飯伏が帰ってきた。この勢いのまま新日本のトップに舞い戻る。