【デスク発ウラ話】佐野さんがどうしても伏せておきたかった「近しい人」

2019年06月24日 12時00分

 ちょうど今、プロ野球の連載記事で元近鉄・佐野慈紀さんの半生について取材している。これまでも本人と何度か会ってじっくりと話を聞いた。

 その大半はいうまでもなく野球にまつわることだが、たとえグラウンド外の話題であっても、あの醜聞だけはどうしても触れないわけにはいかない。かつて盟友だった元メジャーリーガー・野茂英雄氏との借金トラブルだ。こちらの際どい質問にも佐野さんは丁寧に応じて、今までベールに包まれていた真相を打ち明け、その直撃インタビュー記事は本紙1面で掲載。ヤフーでもトップ扱いで報じられた。


 反響もそれなりに大きかった。ただ、残念だったのはネットユーザーの人たちに誤解を与えてしまった点だ。インタビュー上で佐野さんは野茂氏からの借金を使い込んで返せなくなってしまった理由の一つとして、次のようなことを述べている。

「詳しくは言えないのですが、昔お世話になった近しい人がいまして…。現役のときに、その近しい人から連絡が入るようになって金銭的な援助をしていたのですが、正直だんだんと苦しくなってきたのである程度のお金を渡して縁を切ろうと思ったのです」

 この「近しい人」に関してネット上では「黒い交際なのではないか」「オンナだろう」などといった臆測が次々と飛び交い、書き込まれたコメントにもかなり辛らつな言葉が目立った。確かにこういう表現にすれば、あらぬ誤解を招いてしまうのも無理はないのかもしれない。それでも真相を知っている自分としてはとても歯がゆい気持ちでいっぱいになった。

 その裏を明かせば当初、この「近しい人」はもっと具体的な呼称で世に出すつもりだった。ところが佐野さんたっての強い希望により、出稿前の時点で「近しい人」に差し替えられることになったのである。

 だから、ここで本人の名誉のために強調しておく。この「近しい人」はネット上でささやかれているような“怪しい人”では断じてない。それでも佐野さんがどうしても伏せておきたかったのは結局、この「近しい人」にも気を配っていたからであった。

 佐野さんが引き起こした野茂氏との借金トラブルは、どうひいき目に見ても見過ごされるべきことではない。しかし醜聞発覚によって各方面から糾弾されて多くを失い、マイナスからのリスタートを決意した佐野さんの姿勢にウソはないと信じている。取材を重ねているうちに、そう思った。

 今後、どこまで野茂氏との関係が修復できるかは正直分からない。とはいえ、かつての盟友に懺悔の念を抱きながら何とか少しでも前へ進もうとしている佐野さんに対し、根拠のない罵詈雑言を浴びせることはどうかやめてほしいと切に願う。

(運動部デスク・三島俊夫)