【前田幸長氏が選ぶ24人の侍】“若侍エース”はMLBスカウトも評価するオリ山本由伸

2021年05月03日 10時00分

前田幸長氏が選ぶ24人

 五輪種目として2008年北京以来の復活となる野球で金メダル獲得を目指す日本代表・侍ジャパン。指揮を執る稲葉篤紀監督(48)は一昨年の秋に優勝を飾ったプレミア12から登録メンバーが4人減る五輪で、誰をチョイスするのか。本紙評論家の前田幸長氏が「24人の侍」を大胆予想した。

【前田幸長氏が選ぶ24人の侍】すでに提出済みの1次ロースター185人に入っているメンバーは、稲葉監督が「出場の可能性がある選手はすべてリストに入れた」と公言しているように、かなり多岐にわたっているものとみられる。これからの選考プロセスは2年前の秋に優勝を遂げたプレミア12のメンバーをベースとし、そこに昨季および今季のペナントレースで活躍を遂げた新戦力をアップデートしていく方向性が妥当であろう。

 ただ、この基準となるはずだったプレミア12のメンバーは特に投手において“狂い”も生じている。エース候補の千賀滉大(ソフトバンク)は4月6日に左足首の靱帯を損傷し、競技復帰までに2~3か月かかる見込みとなっていることを考えれば東京五輪参加は絶望的だ。守護神の山崎康晃(DeNA)も昨季、調子を大きく落としたことで最終ロースター入りはかなり厳しい状況。ロングリリーフ要員として重宝された変則右腕の高橋礼(ソフトバンク)、これまで稲葉ジャパンでは重宝された左腕・田口麗斗(ヤクルト)も、ここまでの投球を見る限りにおいては難しそうな雲行きが漂う。

 稲葉監督は投手の登録人数を11~12人と見込んでいるようだが、やはり12人は欲しいところではないか。その理由としては夏場の戦いにおいて投手陣の消耗度はかなり激しくなることが予想されるからである。もちろん国際大会の独特の緊張感がある中、投手陣はペース配分を無視するように目一杯飛ばさざるを得なくなることも覚悟しなければいけない。そう考えれば、投手の人数は多ければ多いほどいいだろう。

 こうした点を踏まえた上で、東京五輪における新たな侍のエース候補には山本由伸(オリックス)を推したい。プレミア12でMLBスカウト陣から高い評価を受け「今すぐにでも欲しい」とラブコールを送られ続けている逸材右腕。今季はチームでも初の開幕投手を務め、22歳の若きエースとして君臨している。ストレート、フォークのタテの変化に加え、今季はスライダーなど横の変化球も勝負球として鋭さを増し、明らかにバージョンアップ。東京五輪を戦う侍ジャパンに新風を吹き込ませる意味においても、成長著しい山本を“若侍エース”として柱に据えれば大きなプラス効果を生み出す。

 他の先発メンバーは楽天に復帰した田中将大、巨人のエース・菅野智之が「当確」。ヤンキースで7年間も先発ローテーションを守ってきた田中将の実績と経験値は群を抜いている。侍ジャパンではプレミア12だけでなく4年前の第4回WBC準決勝で米国代表を相手に快投し、MLBにその名をとどろかせた菅野の存在も必要不可欠だ。それから2年目もさらに躍進しそうな広島・森下暢仁も加えたい。冷静沈着な投球術と、ピンチになってからギアチェンジする気の強さは国際試合でも非常に頼りになる。

 守護神候補は完全に絞り切れないが、現段階ではソフトバンク・森唯斗と西武・増田達至、広島・栗林良吏の3人の名前を並べておきたい。思い切って鯉のルーキー・栗林を大抜てきするのも「アリ」だと考える。度胸も据わっているし、何よりもあの宝刀フォークを駆使して三振を奪えるのはストッパーとして強みだ。

 先発も可能なロングリリーフ要員としてベテランの岸孝之(楽天)、昨季沢村賞投手・大野雄大(中日)の2人もメンバー入りするだろう。プレミア12にも参加した左右の両輪は東京五輪での金メダル獲得を果たす上で重要なピースとなるに違いない。

 賛否両論あると思うが、個人的に選んでみた侍メンバーは「最強」に近いと言い切れる。果たして稲葉監督は、どのような決断を下すか。今から楽しみだ。

(本紙評論家)

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