【広瀬真徳 球界こぼれ話】プロ野球シーズンも残りあと1か月ほど。この時期になるとリーグ優勝の行方とともにタイトル争いにも注目が集まる。中でも個人的に興味を抱くのが「新人王」である。
現時点でセ・リーグは巨人の守護神を務める大勢(23)が大きくリードしている感があるが、パ・リーグは難解と言っていい。ここにきて「本命候補」が相次いで離脱を余儀なくされているからだ。
シーズン前半戦を終えた段階でのパの新人王候補は7月末までに6勝を挙げたソフトバンクの3年目左腕・大関友久(24)、そのチームメートで打率2割8分1厘、29打点をマークする柳町達(25)の2人が有力視されていた。ところが、大関は今月に入り左精巣がんの疑いで手術。復帰は未定となり、柳町も今月20日に新型コロナ陽性判定を受け一軍登録を抹消されてしまった。このため新人王レースは他候補にも可能性が浮上する混戦模様になりつつある。
では他候補とは誰か。にわかに注目され始めているのが西武の中継ぎ右腕・水上由伸(24)と日本ハムのルーキー・上川畑大悟(25)だ。
育成出身の水上は昨年5月に支配下契約。昨シーズンは29試合0勝1敗、防御率2・33の好成績を残した。今季は開幕一軍切符をつかむと4月20日のロッテ戦でプロ初勝利。その後、新型コロナ陽性判定を受け一時離脱したものの、5月上旬に復帰後はフル回転の活躍でチーム首位浮上に貢献した。現時点(28日)でも53試合の登板で4勝3敗1セーブ(28ホールド)、防御率1・24。25日のロッテ戦で5試合ぶりに失点したものの、それまでは防御率0点台を死守するなど数字上では他を上回る。
上川畑は今春キャンプで古傷の右ヒザを痛め出遅れたものの、5月下旬からは一軍に定着。以後は堅実な打撃と安定した守備で飛躍を遂げている。28日時点で打率2割6分8厘、2本塁打、13打点。ここにきて成績を落とし気味とはいえ、今後打率が3割に近づけば柳町らを脅かす存在になる可能性はある。要注目だろう。
新人王は他のタイトルとは異なり現場記者の投票により選出される。成績や数値だけでなく、シーズンの印象度や投票する記者の私情、思い入れなども投票に影響すると言われる。しかも投手、野手の区別なく選ばれるのは各リーグから1人ずつ。そんな複雑な賞レースだけに物議を醸すこともしばしばだが…。果たして今年は誰が栄誉を手にするのか。シ烈な争いを期待しながら最後まで見守っていきたい。
☆ひろせ・まさのり 1973年愛知県名古屋市生まれ。大学在学中からスポーツ紙通信員として英国でサッカー・プレミアリーグ、格闘技を取材。卒業後、夕刊紙、一般紙記者として2001年から07年まで米国に在住。メジャーリーグを中心にゴルフ、格闘技、オリンピックを取材。08年に帰国後は主にプロ野球取材に従事。17年からフリーライターとして活動。












