阪神・藤浪晋太郎投手(28)が31日の西武戦(甲子園)から一軍に昇格。0―2の9回に救援投手としてマウンドに上がり、1回を無安打1四球無失点に封じ「投球自体はあまり良くなかったが(女房役の)長坂にも助けられた。次回の登板に向けしっかり準備したい」と久々の一軍マウンドを振り返った。

 チームの開幕投手として今シーズンを迎えた背番号19だが、4月12日に新型コロナウイルスに感染した影響で戦線を離脱すると、その後はハイレベルな先発ローテ6投手の牙城を崩すことができず、長くファームでの調整を余儀なくされた。先発投手としての出場を本人は強く希望していたが、チーム事情もあり、ひとまずはリリーフとして今後もブルペン待機することになる。

 そんな藤浪が長く慕い、尊敬続けているアスリートが、5月29日の「第89回日本ダービー」を史上最年長の53歳2か月15日で制したJRA騎手の武豊。一軍昇格目前のタイミングで大先輩の偉業を目の当たりにした右腕も「メンタルのことなどについても、よくアドバイスを頂いています。とても尊敬している方。(ダービーは)ドウデュースと1枠1番の馬でワイド一点買いだったので馬券は外しましたが、(決着の瞬間は)馬券のことを忘れるくらいうれしかったです」と声を弾ませる。

 両者の縁もあり、藤浪は2018年オフから武豊が主宰する京都市内のジムに通うことになった。「可動域と再現性の向上」をテーマに地道なトレーニングを長く積み続けている。同ジムの長谷川聡チーフトレーナーは「肩甲骨まわりと股関節の可動域、柔軟性は年々良化し、全く問題ないレベルにまできている。藤浪選手本人も『自分の投球を撮影したビデオを見ても力感がなく、〝脱力〟した状態で投げられている』と手応えを語っていた」と証言。ここ数年の藤浪が制球に安定感を欠き、抜け球を多投していた原因について「投球フォームの中で力みが出てしまい、再現性を保てなくなってしまっていたため」と分析していた長谷川氏だが、右腕の状態は良化傾向であるとの見方を示す。

 この日のゲームを0―2で落とした阪神は、ついに自力優勝の可能性が消滅。巻き返しへ向け、藤浪が今後どのような形でチームに貢献するかという点も見どころとなる。