阪神が勝ちに等しいドロー 中田翔“封じ込め”成功はVへの大きな「布石」だ

2021年09月06日 05時15分

7回、糸井の同点タイムリーに喜ぶ矢野監督ら阪神ナイン(東スポWeb)

 この試合が、今季のペナントレースを左右する大きな一戦となるのか。16年ぶりのリーグ制覇を目指す阪神が、5日の巨人戦(甲子園)に0―6から猛追し、6―6で引き分け。首位の座を堅持した。正念場の首位攻防3連戦を2勝1分けで乗り切ることができたわけだが、今季の巨人との直接対決は残り7試合。この3連戦で巨人とのシーズン最終盤の戦いへ向け、重要な〝布石〟を打つことにも成功していた。

「勝ちに等しいような引き分けだった」。矢野監督の試合後のコメントが何より端的にこの一戦を言い表していた。最大6点のビハインドを、終盤以降の猛攻で追いついてのドロー決着。際立ったヒーローは不在。だが控え捕手の坂本を除いてベンチ入りした野手すべてを使い切った死闘は、伝統の一戦の名に恥じぬ熱のこもった戦いだった。

 長らく代打要員に甘んじていた糸井、原口らも勝負どころで適時打をマーク。野手陣だけでなく、6回以降を無安打に封じ、巨人打線の追撃の芽を完全に摘み取った馬場、小川、岩崎、スアレスらブルペン陣の奮闘も見逃せない。指揮官も「ウチらしいあきらめない野球ができた。チーム全員で戦えた」と胸を張った。チーム状況が決して万全でない中、巨人から2つの貯金を奪えた事実は何よりも大きい。

 4日のカード第2戦では巨人の絶対的守護神・ビエイラから大山が逆転の15号2ランを放ってサヨナラ勝ち。この日もセットアッパーのデラロサから2点を奪った。「嫌なイメージを持たせることができた。試合後半になっても行けるぞという雰囲気をつくれるし、相手にしてみれば嫌な形をつくれた」と指揮官も振り返った通り、有形無形で巨人にさまざまなダメージを与えることにも成功した。

 もう一つ、シーズン最終盤の直接対決へ向け重要な布石となったのが、先月8月に電撃的な形で巨人に新加入した中田翔内野手(32)の封じ込めだ。ここまで打率1割台と打撃不振に陥っている元・日本ハムの主砲だが「今季の巨人戦は残り7試合。そのうち6試合がホームランが極端に出やすい東京ドームが舞台。ここで中田を復調させると後々の戦いに大きく響いてくる」(チーム関係者)。日本ハム時代に3度の打点王に輝き、プロ通算262本塁打をマークしている強打者の巨人加入は、やはり虎にとっても大きな脅威だ。

 日本ハムで打撃コーチとして中田を指導した経験も持つ評論家の柏原純一氏は「中田はどちらかというとヤマを張るタイプなので、ストライクゾーンを幅広く使ってその中で勝負するのが有効だと思う。下手にクサいところばかりに投げてボール球が先行すると、カウントを取りに行った甘い球を痛打されかねない」と指摘。事実、阪神バッテリーはこの3連戦で特定のコース、球種に偏ることのない幅の広い配球で中田を翻ろう。狙い球を絞らせず、3戦合計で6打数1安打(2四球)に封じ込めることに成功した。

 この日、岡本に35号3ランを献上し3回4安打3失点に終わった藤浪にとっても、母校・大阪桐蔭の先輩に当たる中田は、投げにくい部分もあるだろうが避けては通れぬ相手。チーム全体で敵軍の〝ジョーカー〟を抑え込めた意味は決して小さくない。

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