〝コイの裏番長〟にかかる期待は大きい。今季はコンディション不良による登録抹消などで出場79試合にとどまり、打率2割6分6厘、7本塁打、36打点と不完全燃焼に終わった広島・会沢翼捕手(32)のことだ。

 16日にマツダスタジアムで契約更改交渉に臨み、3年契約2年目の来季に向けて現状維持の年俸1億8000万円プラス出来高払いでサイン。今季限りで石原慶が引退し、在籍年数ではチーム2番目となった赤ヘルの扇の要は「プロ野球選手は試合に出てなんぼ。試合数が減ったのが一番悔しい」と振り返った。

 会見では「長野さんがこの間会った時に『チームを引っ張っていく』と言っていたのでやってくれると思う」と長野久義外野手(36)をリーダーに指名してニヤリとする場面もあったが、生え抜きのベテラン捕手に対する球団の期待は大きい。

 選手会長の田中広輔内野手(31)を陰で支えているのも会沢で、鈴木球団本部長も「若い選手は会沢が『うん』と言えば従う。チーム全体がそんな感じ。いつもチーム全体のことを考えてくれている」と絶大な信頼を寄せる。

 チームはリーグ3連覇を経て世代交代の過渡期へと差し掛かり、2年連続Bクラス。そんな難しい時だからこそ「若い選手はもちろん、主力選手にも言うべきことは言える存在」で、人望もある会沢には〝ニラミを利かせる役割〟も求められている。

 ただ、統率力が発揮されるのはグラウンドで戦力になってこそ。そこは会沢も重々承知しており「危機感を持ってやらないといけない。もっとうまくなりたい。出れるものなら全部出たい」と鼻息を荒くしている。