巨人は14日、セ・リーグ理事会に2021年シーズンでDH制を暫定的に導入するように求める文書を提出した。

 文書は山口寿一オーナーの記名で「DH制暫定導入検討のお願い」と題して提出され、DH制を取り入れる理由として①投手の負担軽減②チーム強化③プロならではの試合提供の3点が挙げられた。

「第一に、コロナ禍の中で投手の負担軽減を図る必要があります。今季、セ・リーグは投手の故障者が41人を数え、30人だったパ・リーグを11人上回りました。過密日程に加え、打撃、走塁の負担が関係した可能性があります。第二に、コロナ禍においてもチームの強化に努める必要があります。投手の負担軽減を図りながらチームを強化するには、DH制を暫定導入し、一人でも多くの野手に出場機会を与えて鍛えるのが理にかなっています。第三に、我々はお客様にプロならではの試合を提供する責務があります。セ・リーグでは、点差によって投手がバッターボックスの後方に立ってバットを振らない、または空振りする場面が見受けられますが、プロスポーツとして本来許されるものではないと考えます」(原文ママ)

 また、近年投手の打撃力が低下した理由に「社会人野球、大学野球にDH制が広く定着したこと」を挙げ「DH制を採っていない大学野球は今や東京六大学と関西学生野球のみです」とも指摘。「伝統を重んじるセ・リーグの野球に対する誇りと愛着は、皆さま以上に強く持っています」としつつ、コロナ禍でのシーズンを乗り越えるためにも「DH制を少なくとも来季に限り暫定的に導入することを検討すべきと考えます」と唱えた。

 そして最後は「MLBでもナショナル・リーグが今季DH制を導入し、来季も継続する方向と伝えられています。セ・リーグの野球を一層高め合うために、ご検討をどうかお願い申し上げます」と結ばれた。

 だが、セ・リーグ理事会はこの提案を却下。他球団の賛同は得られなかった。