実力以上に別の要因が尾を引いているのか。現役復帰を目指す元日本ハム・新庄剛志氏(48)に暗雲が漂い始めている。同氏は7日に神宮球場で行われたプロ野球12球団合同トライアウトに参加。2006年の現役引退以来、実に14年ぶりの実戦だったが3打数1安打1四球、1打点と予想外の結果を残しアピールに成功した。しかし、獲得に名乗りを挙げる球団はなかなか出てこない。いったいなぜなのか。

 トライアウト後の新庄氏は「結果はそんなに意識していなかったが、48歳という年でとりあえず(実戦の打席に)立てたことがうれしかった。ここから状態は上がる? もちろん!」と目を輝かせながら改めて現役復帰に強い意欲を示した。

 年齢を感じさせない引き締まった肉体に加え、衰えを感じさせない俊敏な動き。48歳という年齢はプロ野球選手として高齢も、知名度や話題性はいまだ健在だ。「集客」の意味合いを込め格安年俸で獲得に動く球団が現れても不思議ではない。

 だが、新庄獲得に最も興味があると噂されていた古巣・日本ハムの幹部が早々に獲得に否定的な見解を示すと、他球団関係者も次々と後ろ向きな発言ばかり。トライアウト後に新庄氏が「(ここから)6日間でオファーがなかったら、野球は終わりです」と自ら設定した現役復帰に向けたタイムリミットは残っているものの、現状では本人に朗報が届く可能性は極めて低いとみられる。

 肉体的に問題がなく金銭にもこだわりがないと言われる新庄氏。にもかかわらず、なぜ球界は獲得に及び腰なのか。

 一時は獲得を検討したという、ある球団幹部によると「新庄を獲得すれば集客が見込めるのは誰の目にも明らか。でも、それ以上のリスクがあるからこそどの球団も獲得に動かないのでしょう」とこう続けた。

「正直なところ、各球団が危惧しているのは彼の『積極的過ぎる発信力』なんです。トライアウト前から彼はSNSをフル活用して自身のアピールをしていましたよね。仮にウチの球団に迎え入れた後に、同じように自由奔放な発信をされたらどうなるか。それこそ内部情報がダダ漏れになるばかりか、トラブルに発展する恐れすらある。本人と契約時に『SNSで球団内部のことを発しない』と誓約させても、今の彼の言動を見る限り、数年後にすべてを暴露される可能性だって否定できない。そういうリスクがはらんでいるからこそ各球団は慎重な姿勢なのです。他球団の人に聞いても同じようなことを以前から心配していましたから」

 確かに新庄氏はトライアウト前から自身のインスタグラムを頻繁に更新。自らの思いや意思を積極的に発信している。本人にしてみればこうした言動はあくまで現役復帰に向けたアピールの一環。悪気はないだろう。だが、球団側から見れば本人の積極果敢なSNSのフル活用はむしろ脅威そのもの。見過ごすわけにはいかない。

「今の時代、SNSを駆使することは決して悪いことではない。でも、野球はチームスポーツですし、組織のことも考えなければいけない。行き過ぎた個のアピールは他選手にも示しがつかなくなる。そのあたりを彼が理解しているかどうかでしょうね」(前出球団幹部)

 とはいえ、制御不能だからこそ新庄氏なのであって、扱いやすい優等生な新庄氏では、その魅力も半減してしまう。新庄氏の連日に及ぶSNSでの発信が、現役復帰の足かせとなっているのだとしたら何とも皮肉なことだが…。