今季限りで阪神を退団し、現役続行の道を模索する能見篤史投手が、11日のシーズン最終戦・DeNA戦(甲子園)の9回に救援登板。1―0のセーブシチュエーションを1安打無失点に抑え、阪神最後のマウンドを今季初セーブで飾った。

 41歳。タテジマの似合うスリムなスタイルは入団当初から変わらぬまま。大きく振りかぶる美しいワインドアップモーションから最速149キロの直球を投じ、虎党を酔わせた。

 試合終了後はナインたちに見守られながらグラウンドを一周。惜しみない歓声と惜別の拍手を一身に浴びた。ベンチから引き揚げ、報道陣の取材に応対した背番号14は「16年お世話になった球団。本当に感謝しかない。最後のマウンドは楽しみながらも半分ドキドキしていた」と振り返ると「大山が泣いているとは思わなかった。梅野もね(笑い)。若手ナインたちは悔いなくやってほしい」と後輩たちを思いやった。

「大阪ガスの後輩の近本が(登板直前の8回に決勝点を挙げ)とんでもないプレッシャーをかけてくれた」。冗談をはさみながら、最後の会見でも左腕らしくポーカーフェースを貫いた。だが、瞳だけは涙でやや潤んでいた。