中日・大野雄大投手(31)が8日の巨人戦(ナゴヤドーム)に9回2失点と好投したものの、チームは0―2で敗戦。6試合連続完投勝利の球団新記録達成とはならなかった。エースとしての力を見せつけた大野雄だが、関係者の間では今オフのFA流出の心配は高まるばかり。そんな中日にとって頼りになる存在が現れた。大野雄と親しいあのドラゴンズファンが、エースの引き留め役に名乗りを上げたのだ――。

 まさにエースのピッチングだった。9回を投げ切り6安打2失点。巨人最後の打者・中島を投ゴロに仕留めてベンチに戻る大野雄にはナゴヤドーム全体から温かい拍手が送られた。価値ある6試合連続完投だったが、それでもチームは0―2で敗れ、大野雄の連続完投勝利は「5」でストップした。

「対戦する前からなかなか点を取れる投手じゃないというのはわかってましたし…。その中で僕が先制点を取られてしまったことが負けた原因でしょう」。責任を1人で背負い込んだ大野だが、誰の目にもこの日負けた原因は非力な打線にあるのは明らか。今季2試合連続完封負けを喫している巨人先発・菅野にこの日も7回無失点に抑え込まれ、開幕10連勝をプレゼントした。

 エースを見殺しにしたぶざまな敗戦にOBや関係者の間からは「(大野雄が)FAすれば優勝を狙えるチームに移籍するのでは」と心配する声も上がっている。資金も戦力も不足している中日だけに今オフ、エースが愛想を尽かして出ていってしまうのでは、という不安がどんどん高まっているのだ。

 そんな中、焼きたてのハンバーグよりも熱い〝ドラゴンズ愛〟を持つあの男が立ち上がった。芸能界きってのドラゴンズファンとして知られるお笑いコンビ「スピードワゴン」の井戸田潤(47)が「(大野雄がFA宣言をした場合)自分は(中日に)つなぎとめる役をやりたいと思っているんですよ。〝引き止め役〟を買って出ます。何とか残ってくれないかって」と本人に直接残留交渉を行うつもりでいる。

「大野さんは人間味がすごくあるじゃないですか。そういうのが見ていてとても好きです」という井戸田は大野雄とも交流を持ち、シーズン中もLINEを送りあったりする間柄。名古屋の情報番組「ドデスカ!」(メ~テレ)が7月に行った「ファンが選ぶ芸能界一のドラゴンズファン」というアンケート調査でトップに輝いた熱いドラゴンズ愛の持ち主が、大野雄残留のネゴシエーターに立候補してくれたのは球団にとっても心強いことだろう。

 もちろん大野雄残留のために最も重要なのは、中日サイドのアクションだ。「ドラゴンズは(FA交渉などで)〝マネーゲームはやらない〟というじゃないですか。やらなきゃダメですよね」と井戸田は球団の本気度にも期待している。球団の好条件と井戸田の熱意が合体すれば、大野雄の気持ちも残留に傾くかもしれない。