第108回全国高校野球選手権大会の第15日(22日・甲子園)の決勝戦は智弁和歌山が健大高崎(群馬)に4―3で逆転勝ちし、5年ぶり4度目の夏制覇を果たした。

 4―3の9回二死、3番手の久葉(3年)が代打の園田を三振に打ち取ると、帽子を天に投げた。その瞬間、智弁ナインは雄たけびを上げながらマウンドへ。人差し指を空に掲げ、優勝をかみしめた。

 序盤から打線に火が付いた。一死二塁から8番・山下(3年)の適時三塁打で先制すると、二死三塁から1番・長友(2年)の右翼への適時二塁打で追加点を奪取した。

 しかし、相手チームも後半から反撃を始める。5回に狩野のタイムリーで1点差に縮めると、2―1の8回に石田の勝ち越し2ランで逆転を許してしまう。

 それでも諦めないのが智弁ナイン。その直後に猛攻を見せ、再び試合を優位に進める。無死一、二塁に代打で打席に立った主将の松本(3年)が初球から見事送りバントを決めて一死二、三塁の絶好機をつくると、川原(3年)のスクイズで同点。さらに相手投手の暴投により三塁走者が本塁に生還。勝ち越しに成功した。

 試合後、中谷監督は8回の逆転劇について「このイニングでは松本のバントで本当に逆転まで見えた。魂のこもった素晴らしいバントでした」と言及。主将・松本の犠打を絶賛した。

 そんな気迫のバントを見せた松本は、お立ち台で歓喜の涙を流していた。「最高の仲間と最高の舞台で、最後の夏に優勝できてうれしい気持ちでいっぱいです」。言葉を詰まらせながら、思いを口にした。

 ケガを乗り越え、夢の舞台に立った。松本は、県大会を前に腰痛を発症。次第に歩くこともままならない日が続くようになっていた。県予選の前には、何度も指揮官と話し合いを重ね、時には母親との三者面談を行いながら、手術を受けるかの決断を迫られていたという。

 手術を決断したのは、中谷監督のある言葉だった。「松本が優勝旗を持ってるイメージはできてる」。6月末に腰の手術を受けると、脅威の回復力を見せ、甲子園へ。指揮官がイメージした優勝旗を持つ姿は、現実となった。

「智弁ファミリーみんなで勝ち取った優勝じゃないかなと思います」と指揮官。5年ぶりにつかみ取った深紅の優勝旗を和歌山へ持ち帰る。