今秋開催されるプロ野球のドラフト会議に向けて、金の卵たちを追いかけるスカウトたちは悩ましい季節を迎えている。

 アマチュア界では大学日本代表が7月に台湾で行われた第1回「ワールド・カレッジ・ベースボール・チャンピオンシップ(WCBC)」で優勝。投手は11人のうち8人が4年生で、大学選手権V左腕・米沢友翔投手(関大)や、青学大のエース・鈴木泰成投手など、全員がドラフト1位候補クラスの豪華布陣だった。

 一方で動向をチェックする多くのスカウトが気にかけているのは、大学生活を通じて消耗する肩やヒジのコンディションだ。

 在京球団のスカウトは「大学生はリーグ戦の勝ち点制だから。各校との対戦で2勝で勝ち点がつく方式は、1勝1敗になると必ずエース級のいわゆるドラフト候補が中1日で登板する流れが多い。層の薄い学校ほどその傾向は顕著。今はプロでも1週間に1回しか先発しないのに、大学生は春、秋とエース格ほど1週間に2度先発し、場合によっては週に300球以上投げてしまうケースが増えている。その時は問題なくても、後々に症状として出てくるケースが多いんだよ」と留意すべき点を打ち明けた。

 近年では2023年のドラ1でプロ入りした下村(阪神)や草加(中日)が該当するという。ともに大学時代の酷使が原因で、一軍の舞台に立つ前にトミー・ジョン手術を受けて長期のリハビリを余儀なくされた。

 プロでのキャリアが年単位で遅れるとなれば、球団側としてもダメージとなる。前出スカウトは「もちろん学生(選手)に非はない。むしろ一生懸命投げるのは当たり前だし、使う監督からしても目の前の一戦を何とか勝ちたいと思って最善の起用をしているわけだから」と前置きした上で「改善点があるとすれば、連戦ではなく、もう少し余裕のある日程にできればいいんだけど。それに近年は国際大会も増えたし、代表に入るようないい投手ほど、故障になるリスクは高まっているのは事実だよね」と見極めの難しさを語った。

 今年のドラフトは大学生投手が〝豊作〟と言われる。即戦力候補の獲得へ、スカウトたちの眼力が試されている。