第108回全国高校野球選手権大会もいよいよ大詰めを迎えた。熱戦が繰り広げられた一方で、今大会も酷暑による熱中症のリスクを避けられず、世間の心配と批判の目にさらされる中での運営となった。幸い例年よりも晴れ間が少なく、朝夕2部制の拡大で何とか乗り切ったとはいえ、気候変動による抜本的見直しは待ったなしの状態。「夏休み期間中の甲子園開催」を動かさずに永続開催できる策はあるのか…。日本高野連の井本亘事務局長(55)を直撃した。

日本高野連の井本亘事務局長
日本高野連の井本亘事務局長

 ――朝夕2部制を拡大したことで足がつる選手が少し減るデータが出た

 井本氏 1試合と3試合に分けるということで減ったならプラスに捉えたらいいのかな、と思うが、今年は薄曇りの日もあったので一概に言えない。毎年、酷暑酷暑と言われるので選手、観客の意識も高まっているとは思います。

 ――では、来年もこの方向になりそうか

 井本氏 まあ、そうですね。2―2か、1―3かは分かりませんが。

 ――2部制は球場が早朝から夜までの稼働となり、関係者の働き方改革に逆行するとの指摘も

 井本氏 大会本部は会社(新聞社)なのでウチ以上に(労働基準に)厳しいじゃないですか。僕らも午後から出たりローテーションでやっている。世の中そうですから。

 ――「夏休み期間中の甲子園開催」にこだわると抜本的な改革ができないのではないか

 井本氏 7イニング制も含めていろいろ考えてるということしか言えない。こだわっているというか、前提はね。なかなか動かせないですよね。長期休暇にやらないと。球場もね。100%かと言われたら分からないですけど。

 ――7イニング制は現場の7割が反対している。大阪桐蔭の西谷監督はアンケートを無視して話が進んでいると厳しく批判しているが

 井本氏 説明が不足したからじゃないですかね。4000校近くに都道府県の連盟を通じて加盟校に伝えてもらうので相対して話をするのは難しい。

 ――決して7イニング制に突き進んでいるわけではないと

 井本氏 僕はどちらにも振れないようにしています。これだけ反対されてはねえ、とも思いますけど、全体を見ないといけない運営がある。一部だけ見て決められない。これだけいろんな対策をやって意識が高まっていても事故が起こるかどうかは誰も分からない。

 ――開催期間を1週間伸ばせないのかという提案もある

 井本氏 都道府県連盟の大会もある。そこを含めた上でどう考えていくか。甲子園だけの話じゃない。

 ――阪神電鉄、NPBと話し合いはされているのか

 井本氏 何とも言えない。でも、甲子園が何とかなっても僕らは甲子園だけやっているじゃない。地方大会も含めて時短や7イニングというものを考えている。地方のグラウンドだって大学、社会人、他のカテゴリーと融通しながら使っている。高校だけでスケジューリングを変えるのは難しい。

 ――NPBの協力ももっと必要になる

 井本氏 もちろんプロ野球、甲子園を貸してくれるというなら、もしかしたら日程が長くなりますけど、タイガースだけじゃなく、12球団全部が関わってくる。

 ――来年以降、今年以上の猛暑が襲ってくるかもしれない

 井本氏 今回は1試合を順延しただけでラッキーでしたけど、この先はどんどん暑くなっていく。僕らからすると、8月より7月下旬の方が暑いんじゃないかと心配でドキドキしてます。都道府県に任せているのでコントロールできない。2部制とか午前中だけとかいろんな工夫をしてもらっているので何とかできていますが…。

 ――全体を考えていかないといけない

 井本氏 それを動かすにはどうしたらいいという話。全国大会だけなら何かできる可能性はあるんでしょうけど、夏は都道府県と連動している。250の地方球場が全部ドームになるかなんて夢物語ですしね。

 ――甲子園ドーム化という声もあるが、現在行われている銀傘の拡張工事も総工費150億円かかる

 井本氏 ランニングコストもかかる。屋根を付けるとなると、ライトの奥に素盞嗚(すさのお)神社がある。球場の外に基礎を作ってビルを作ってそこから屋根を張る。神社どうするの、という問題もある。ただフタをするだけじゃない。