豪快な一発だけが4番打者の仕事ではない――。阪神は16日の広島戦(マツダ)に8―1で快勝。連敗を「2」で止め、巨人とはゲーム差「2」で首位を守った。

 虎の主砲が2連敗中のチームに勢いを呼び込む一発を放った。初回二死一塁から佐藤輝明内野手(27)が先発・森の138キロのツーシームをフルスイングで捉え、バックスクリーンに飛び込む先制の28号2ラン。

 敵地に集った虎党の歓声を背にダイヤモンドを一周し、ベンチにハイタッチで迎えられた。「もう大きかったですね、チームとしてね。良いバッティングができてよかったです」

 2回以降は追加点を奪えず1点差まで詰め寄られたものの終盤に打線がつながり、終わってみれば13安打8得点と鯉投手陣を攻略。先発・伊原も5回1失点と粘り、リリーフ陣も無失点リレーで勝利を呼び込んだ。

 佐藤はこの日の一発でキングに君臨する森下に1本差に迫ったが、試合後はチーム全体を見渡す〝監督ばりの視点〟ものぞいた。

 巨人との首位攻防戦で3連勝を飾った直後、最下位・広島を相手に痛恨の連敗。仮に3連敗となっていれば、せっかくつかんだ勢いを手放しかねなかっただけに価値ある1勝となった。

 その重要性をしっかり理解していた虎の主砲自身も「(3連敗しないことは)それは大きいですよ。またね、京セラ(ヤクルト戦)で頑張りたいです」とキッパリ。自身の成績だけではなくチームが置かれる状況に目を向けていた。

 そんな佐藤について藤川球児監督(46)も前半戦総括で「ある意味、監督である自分の身代わりのよう」とまで表現していた。4番打者として打線の中心を担うだけでなく、チーム全体の流れや勝利のために何が必要かを考える存在へと成長している虎の背番号8。

 シーズンも残り37試合。V争いも佳境となる中で、指揮官ばりの〝俯瞰力〟で猛虎をけん引していく。