〝竜党の洗礼〟も、この左腕にはどこ吹く風だった。巨人は16日の中日戦(バンテリンドーム)に11―0で大勝。古巣の本拠地で移籍後初めて先発した小笠原慎之介投手(28)が7回無失点の快投を演じ、今季3勝目(2敗)9を挙げた。
初回裏、1点の援護を受けてマウンドに上がると、球場には中日ファンの〝大ブーイング〟がサイレンのように響き渡った。それでも全く動じない。7回まで冷静に試合をつくり、虎の子の1点を守り抜いた。すると直後の8回、味方打線が打者一巡の猛攻。6安打10得点のビッグイニングをつくり、一気に試合を決めた。
ヒーローインタビューに応じた小笠原は「目の前のアウトを1つずつ取るだけだったので。それに重きを置いて投げてました」と、歓声とブーイングが入り交じる独特の空気の中で淡々と振り返った。
その〝強心臓〟ぶりは前日15日から変わらない。報道陣にブーイングについて問われると「逆にどう思います?」と逆質問。「1つの歓声だと思ってやってるだけなんで。意識はしてない」と言い切っていた。
このタフさの裏には、1年間の〝メジャー修行〟がある。2025年1月、ポスティング交渉期間終了間際に米大リーグ・ナショナルズへの移籍が決定。だが、同年3月にはマイナー降格を通達されるなど、思うように結果を残せず苦しい日々も味わった。
日本とは異なる厳しい環境で、球場ではファンから容赦なくブーイングやヤジが飛んだ。応援歌の文化がない分、人種差別的な言葉まではっきり耳に入ってきたという。
そんな過酷な状況にも屈することなく、技術だけでなく精神面でもたくましさを増した背番号98。チーム関係者も「中日側のスタッフも、帰国した彼のメンタルの強さに驚いていた。小笠原のそういった強さは、チームを引っ張っていく『原動力』になる」と絶大な信頼を寄せる。
次回登板は29日、甲子園で行われる首位・阪神との直接対決に先発予定。竜党の大ブーイングをものともせず古巣を封じた左腕が、今度は敵地で〝虎狩り〟に挑む。












