警視庁生活環境課は12日までに、希少な「アオキノボリアリゲータートカゲ」などを密輸しようとしたとして、関税法違反(無許可輸入未遂)の疑いで、メキシコ国籍の住所、職業不詳ダニエル・イサック・ベラスコ・バルタサール容疑者(23)を逮捕した。同トカゲは日本では1匹10万円前後で販売されることもあるといい、警視庁が詳しい経緯を調べている。

 逮捕容疑は8日、アオキノボリアリゲータートカゲ9匹を韓国・金浦空港から羽田空港へ無許可で輸入しようとした疑い。7月下旬に「爬虫類の展示即売会に合わせて、密輸入しようとしているメキシコ人がいる」などとの情報提供を受けた警視庁が税関に連絡し、警戒していた税関職員が発見した。

 容疑者は容疑を認め、「1匹約560~750円で仕入れた」と供述している。他種を含むトカゲ計200匹を、靴下1枚につき2~数十匹ずつ詰め、履き口を結んだ上でスーツケースに隠していた。うち1匹は死んでいたという。

 アオキノボリアリゲータートカゲは、メキシコの山岳地帯の森林に生息する希少種。約40種が知られるアブロニア属の一種で、メキシコでは「メキシコドラゴン」などと呼ばれることもある。ワシントン条約(CITES)の附属書Ⅱに掲載され、国際取引には輸出国の許可などが必要とされている。CITESの公式取引記録によると、2018~2023年にメキシコから合法的に輸出されたアブロニア属の生体349匹(うちアオキノボリアリゲータートカゲは184匹)のうち、韓国向けが249匹、日本向けが100匹だった。いずれも飼育下繁殖由来として申告された商業目的の取引だった。

 爬虫類事情通は「東アジア、とりわけ韓国と日本に明確なペット需要があります。また、アブロニア属を靴下などに隠して国外へ持ち出そうとする事件は以前から摘発されていました。今回だけの特殊な隠し方ではありません」と指摘する。

 実際、メキシコでは希少トカゲを狙った違法取引が以前から問題となっている。

「プエブラ州チグナワパンやベラクルス州プエルト・デル・アイレなどでは、地元住民らが1匹100~数百円という安価な報酬で希少トカゲを捕獲し、業者が100~200匹単位で買い集めて都市部へ運ぶケースがあると過去に報じられています。そこから海外市場へ流されるケースもあります。2025年5月にはメキシコシティー国際空港で、アブロニア属を含む爬虫類299匹をスーツケースに入れ、東京へ運ぼうとした男が摘発されました」(同)。

 今回、注目されるのが容疑者が韓国から来日していた点だ。CITESの合法取引記録では、韓国は日本を上回るアブロニア属の輸出先となっている。

「可能性の一つとして、容疑者が大量のトカゲを韓国へ持ち込み、その一部を現地で引き渡した後、残りを日本へ運ぼうとしたというケースも考えられます。200匹をどこで仕入れたのか、韓国が単なる経由地だったのか、現地に取引相手がいたのかがポイントでしょう。仮に韓国でも一部を引き渡していたことが判明すれば、複数国にまたがる流通ルートの存在も視野に入ってきます」と同事情通は話す。

 今回はトカゲの密輸が明らかになったが、それ以外のさまざまな外来種が〝裏取引〟されている可能性もありそうだ。