勝負どころで人を生かす――。ドジャースのデーブ・ロバーツ監督(54)が、グラウンド内外で〝絶妙タクト〟を振るった。ドジャースは10日(日本時間11日)、本拠地でロイヤルズに6―5で競り勝った。7連敗を8日(同9日)のダイヤモンドバックス戦で止めながら、翌9日(同10日)の同カード最終戦で再び黒星。なかなか波に乗れない王者が、ここ10試合でようやく2勝目を挙げ、ホームでひとまず〝リセット〟した。

 大谷翔平投手(32)は3回に適時二塁打を放ち、7回にも安打で出塁。5月16日以来の盗塁を決め、フリーマン内野の勝ち越し適時打で一気に生還した。2安打1打点に加え、足でも白星を呼び込んだ。

 ロバーツ監督の采配もさえた。移籍後2度目の先発で本拠地初登板となったスクバルを5回95球、4安打3失点、6奪三振で交代。6回のベシアは無失点、7回のドライヤーこそ2点リードを守り切れなかったものの、再勝ち越し後の8回をスコットが3人で抑えて1イニングずつつなぎ、最後のマウンドはエドウィン・ディアス投手(32)が託された。

 ここに指揮官の〝蘇生タクト〟があった。右ヒジ手術から7月29日(同30日)に復帰したディアスは、その日のマリナーズ戦で5セーブ目を挙げたものの、直近2度のセーブ機会はいずれも失敗。7日(同8日)は逆転サヨナラ2ランを浴び、8日(同9日)も9回に追いつかれていた。

 それでもロバーツ監督は1点差の9回で守護神を替えなかった。ディアスは期待に応え、3者凡退で締めて今季6セーブ目。7月29日(同30日)以来12日ぶりのセーブで、復調への足掛かりをつかんだ。2度続けて扉を閉め切れなかった男に、もう一度同じ扉を任せて〝蘇生〟させた格好だ。

 試合前にも指揮官の気配りが光った。米メディア「ラリー・ブラウン・スポーツ」によると、元レイダースのQBで長年のドジャースファンでもあるデレク・カー氏(35)が家族と早めに球場入り。暑さの中で妻が生まれたばかりの赤ちゃんや子供たちを抱えていることに気づいたロバーツ監督は約30分、自身のオフィスに招き入れた。

 カー氏はXで「本当に親切な人だ。ありがとう、デーブ」と感謝。苦境の守護神には信頼を、来客の家族には思いやりを――。ロバーツ監督のタクトが、人も試合も動かした一日だった。