ド派手な演出を売り物としてきた指揮官が、夢舞台で不気味な「静」を貫いた。日本ハム・新庄剛志監督(54)が28日、東京ドームで行われた「マイナビオールスターゲーム2026」第1戦に全パのコーチとして参加。後半戦の逆転Vへ、情報収集に徹する異例の姿を見せた。その本心に秘められていた胸の内とは――。

 試合前の新庄監督は黄金シューズに「業者にオーダーして作ってもらった」という黄金ノックバットを携えて登場。素振りで独特の空気を漂わせ、入場時にはフランミル・レイエス(日本ハム)と巨大帽子をかぶった。「今年は何もないと言っていた」と話していた全パ・小久保監督も苦笑いするしかなかった。

 ところが、試合が始まると一転して演出を封印した。昨年は自費160万円の特注電光サングラスでスクイズのサインを出したが、今年は4回に一度だけ一塁コーチを務めた以外、ベンチでナインや首脳陣との会話に終始。目立つ動きを見せず、聞き役に徹する時間が続いた。

 この不気味な「静」の先にあるのは、31日から再開する後半戦だ。昨季は貯金21の首位で球宴を迎えたが、今季は貯金12の3位。首位ソフトバンクとは6ゲーム差ある。逆転Vにはライバルの情報収集と分析、そして自らの采配力を磨く作業が欠かせない。球界を代表する選手や指導者が一堂に会する球宴は、そのヒントを得るための絶好の場でもある。派手さを抑えたのは、勝負の後半戦を前に一つでも多くの材料を持ち帰るためとみられる。

 練習中には盟友の全セ・藤川監督と10分以上談笑。内容を問われると「全部内緒ですよ、球児との会話は」と笑みを見せながら、「野球のシステム上のこととか選手の起用法とか。俺の意見も言うし、球児の意見も聞いて」と明かした。作戦面について互いの考えを交換し、自軍に持ち帰ろうとする姿勢がにじんだ。

 夢舞台すら自身の成長とチーム浮上の糧に変える。昨年とは別人のような振る舞いこそ、後半戦に懸ける新庄監督の本気度の表れなのかもしれない。