今度はMLBにまで〝大統領人事〟が波及している。ドナルド・トランプ米大統領が22日(日本時間23日)に米ジョージア州マリエッタで行われた集会で低迷するメッツを痛烈に批判。冗談交じりとはいえ、ブレーブス幹部の引き抜きまで提案するなど現職大統領による異例の「的外れな介入発言」が日を重ねるごとに波紋を広げている。
くだんの詳細については、米有力紙「ニューヨーク・タイムズ」傘下のスポーツ専門サイト「ジ・アスレチック」など、複数の米メディアが一斉に報道。トランプ氏は集会で、ブレーブス・デベロップメント社のマイケル・P・プラント社長兼CEO(70)を壇上に招く際、唐突にニューヨークの球団へ次のように矛先を向けた。「メッツは野球界で最も高い給料を払っているのに、いつも負けている。だから、もしかしたらこの男を引き抜けるかもしれないと思った」。
さらにプラント氏について「再建中だと言いながら何年も再建を続けるチームもあるが、この男は決して再建しない。常にトップにいる」と絶賛。メッツを名指しでこき下ろし、ブレーブス幹部を〝移籍〟させる構想まで口にした。無論、大統領に民間球団の人事を動かす権限はない。集会を盛り上げるジョークだったとしても現職大統領が特定球団の経営に踏み込み、他球団の要職者を据えるかのような発言をした意味は小さくない。
しかもプラント氏は選手編成の責任者ではなく、本拠地周辺の複合施設「ザ・バッテリー・アトランタ」など不動産・開発事業を統括する関連会社のトップだ。ブレーブスの強さを同氏の手腕と直結させた〝トランプ人事〟には、認識のズレも透ける。
標的となったメッツは、今季の年俸総額が3億2800万ドル(約492億円)超とメジャー最高規模。それでも23日(同24日)終了時点で43勝60敗、ナ・リーグ東地区首位のブレーブスから17・5ゲーム差の最下位に沈む。巨額投資を続けるスティーブ・コーエン・オーナー(70)への風当たりも強く、トランプ氏の一言は低迷球団の痛部を突いた格好だ。
トランプ氏はメッツの本拠地があるニューヨーク市クイーンズ区の出身で、メッツファンとも伝えられてきた。2011年には球団全体の買収に関心を示したこともある。一方で、故ジョージ・スタインブレナー氏との親交からヤンキースとの結び付きも深い。23日のドジャースのホワイトハウス訪問でも同氏を引き合いに出し、勝利への執念を語った。
先のサッカー北中米W杯でも、米国代表FWバログンの出場停止処分を巡って国際サッカー連盟(FIFA)側に再検討を求め、その後に処分が覆ったことで政治介入との批判を招いた。スポーツ界で発言力を増す大統領が、今度は地元球団の〝人事〟にまで踏み込んだ。笑い話では片付けにくい一線越えの発言が、米球界に新たな波紋を投げかけている。












