人気女性シンガーのビリー・アイリッシュが今週、カナダ・トロントで主演を演じる映画「ベル・ジャー」の撮影をしている現場を目撃された。その姿はまるで別人のようだったという。英紙デーリー・メールが22日、報じた

 原作は1963年刊行の小説で、英米だけで430万部を売り上げた詩人シルヴィア・プラスのベストセラーの映画化作品。監督はサラ・ポーリーが務める。ビリーにとってはツアードキュメント以外では初の映画出演となり、待望のスクリーンデビューを主演で飾ることになる。

 撮影現場でビリーは柄物の黄色いドレスを着ており、撮影の合間には薄手のドレスの上にオーバーサイズの緑色のフリースをはおって寒さをしのいでいた。彼女は大きな黒い水筒を持ち、黒いブーツを履いて撮影現場を歩き回っていた。

 別の場面でビリーは袖をまくった大きめのボタンダウンのライトブルーのシャツを着ていたという。映画でビリーの母親役を演じる女優のキャリー・マリガンも撮影現場で目撃されている。

 ビリーは主役であるボストンに住む19歳の大学生、エスター・グリーンウッド役を正式に引き受けた。

 プラスの原作では、エスターは1953年にニューヨーク市で華やかなインターンシップの機会を得た後、臨床的うつ病を患い、自殺未遂を起こして入院することになる。

 ビリーもキャリアを通して、10代からのうつ病、不安症、自傷行為、ポルノ依存症などとの闘いについて率直に語ってきた。

 物語の中で電気けいれん療法(ECT)を受けるエスターは、抑圧的な家父長制社会の中で自らのアイデンティティーを確立しようと奮闘している。その姿は10代から精神的苦悩と闘ってきたビリーの姿に重なる。

 本のタイトルは、主人公の不安定な精神状態によって引き起こされる息苦しさを比喩的に表現しているという。長らくプラスの半自伝的な作品だと考えられてきた。プラスは30歳で自ら命を絶っており、悩めるティーンエージャーの代弁者であり続けたビリーにとっては、まさにうってつけの役といえる。

「ベル・ジャー」は、ポーリー監督にとって2020年の「ウーマン・トーキング」、12年の「ストーリーズ・ウィ・テル」など作品に続く5作目の長編映画となる。〝適役〟ともいえるキャスティングで、ビリーがどんな演技を見せるのか、期待は高まる一方だ。