米軍は、パナマ船籍の商業タンカーがイランのドローンで攻撃されたことへの対抗措置として、27日にイラン国内の標的に対する空爆を実施した。トランプ大統領は戦争を再開する可能性を示し、「やり遂げる(コンプリート・ザ・ジョブ)」と警告。一方、イランのイスラム革命防衛隊(IRGC)も報復攻撃を行い、再び中東情勢は不安定化してきた。

 IRGCは28日にバーレーンやクウェートにある米軍施設への報復攻撃を行ったと表明した。米国とイランが17日に戦闘終結への覚書に署名した中で、停戦は不安定な状況に陥った。

 米中央軍は、米軍の攻撃は「イラン軍による商船に対する不当な攻撃」への対応であり、「明らかに停戦協定に違反している」と述べた。

 トランプ氏も27日、自身のSNSトゥルース・ソーシャルに「われわれがこれ以上理性的でいられず、非常に成功裏に開始した任務を軍事的に完遂せざるを得ない時が来るかもしれない。そうなれば、イラン・イスラム共和国はもはや存在しなくなる!」と強く警告した。

 なぜイランは商業タンカーを攻撃したのか。

 米国事情通は「イランが停戦覚書に署名したことは、IRGCなど強硬派から『米国に屈した』と見られかねません。また、イランは〝海峡の安全はイラン次第だ〟と示し、今後の交渉で圧力を強めたかったのでしょう。そこで限定的に商業タンカーを狙うことで、米国に譲歩していないと国内外に示した可能性があります。実際、商船の乗組員は全員無事だと報じられています」と指摘する。

 しかし、米国はこれを停戦違反であり、国際航路への挑戦と判断。対抗措置としてイランを空爆した。

 中東事情通は「イランが覚書に署名した中で危険な挑発に出たのは、軍事的に完全敗北を喫することなく生き残り、ホルムズ海峡を揺さぶる力を維持したと判断しているからでしょう。イラン側は、軍事的エスカレーションではなく、限定的な挑発と圧力を続けることで、自国の戦略的立場を改善できるとみている可能性があります」と語る。

 停戦によってホルムズ海峡の商船航行は再開されたものの、商船への攻撃が起きたことで、海峡における正常な海上物流の回復に向けた取り組みは再び脅かされている。

 前出の米国事情通は「商業タンカー攻撃は、原油輸送、保険料、海運会社の判断に直接影響します。イランがホルムズ海峡を不安定化させる力を持っていることを改めて示した形で、それ自体が交渉材料になります」と話している。

 いつになったら平和が訪れるのか。