パ最下位に沈む楽天に、新時代の号砲を告げる1勝が転がり込んだ。22日の西武戦(東京ドーム)に8―7でサヨナラ勝ちした。延長12回、試合時間4時間38分の死闘。吉井理人新監督(61)は就任3戦目で待望の初勝利をつかみ、チームの連敗も5で止めた。

 幕切れは劇的だった。7―7の延長12回二死一塁から代走・小深田が二盗に成功。黒川が西武9番手・上田のスプリットをとらえ、打球は左翼の頭上を越えた。引き分け寸前からのサヨナラ打。その瞬間、ナインがベンチから飛び出し、黒川をウオーターシャワーで祝福。吉井監督も穏やかな笑みでハイタッチを交わした。

 先発の早川は7回4安打4失点(自責2)。3回に渡部に先制ソロを浴び、二死一、三塁から長谷川に2点適時二塁打を許した。それでも打線は7回に4点を奪って一時逆転し、9回に同点。延長11回に勝ち越されても、浅村の6号ソロで追いついた。最後は12回から登板した7番手・中込が三者凡退で流れを呼び込み、プロ初勝利を手にした。

 試合後、吉井監督は「今日は本当に選手たちがよく頑張ったと思います。私はただ、邪魔をしないようにしていただけなので、彼らのものです」と冷静に振り返った。勝利の余韻に酔うのではなく、選手を前面に出すあたりに新指揮官らしさがにじむ。

 楽天元首脳陣の1人は、吉井監督を「眼力が強く、鋭い。一見すると理路整然としていて、インテリ風でおとなしい印象を持つかもしれないが、やるときはガツンとやる人。いったん火がつくと、判断したことをドラスチックにスパッとやる」と評する。

 その片りんは、すでに見えている。21日のロッテ戦(ZOZOマリン)で吉井監督は先発の藤井が1回3安打2四球3失点と乱れると「あまりにもだらしなかった。チームのムードも悪くなってしまうので、かわいそうなことはしたけど思い切って代えました」と初回限りで降板させた。就任早々の非情采配だった。

 前出の元首脳陣は「ああいう厳しい判断ができる人は、星野さん以降いなかった」とも語る。新指揮官に対し、2013年に楽天を日本一へ導いた故星野仙一氏以来の〝闘将〟とみる声まで出始めた。吉井楽天の初白星は、単なる1勝ではない。黄金期再来へ向けた「栄光の第一歩」となるか。