救援の名刺だけでは、もう説明しきれない。西武・平良海馬投手(26)が、先発のマウンドであらためて底知れぬ価値を見せつけている。

 プロ9年目の今季は先発に再転向。開幕からローテーションを守り、22日の楽天戦(東京ドーム)では5回96球、3安打4四球4奪三振1失点で6勝目の権利を持って降板した。ところが、救援陣が7回に4点を失って同点に追いつかれ、白星は消滅。それでも自身は再び規定投球回に到達し、防御率0・89でパ・リーグトップに返り咲いた。11度の先発でクオリティースタート(QS=6回以上、自責3以下)は9度。この日は5回降板でQSこそ逃したが、最少失点でまとめており、安定感はなお際立つ。

 かねて将来的な米球界挑戦の意向を明かしていることから、早ければ今オフにもポスティングシステムによるMLB移籍の可能性が取り沙汰される。すでに登板日のネット裏には、複数球団のMLBスカウトが視察に訪れている。

 平良が海を渡る場合、適性は「先発」なのか「救援」なのか。見方は球団によって分かれる。今季の右腕を視察したナ・リーグ球団のスカウトは「個人的にはリリーフ。真っすぐとフォークは、勝ち継投のリリーバーとして十分に通用する」と評価する一方で、こう続けた。

「仮に今年、先発投手としてシーズンを完走したら、評価する側の我々も〝先発で見るしか〟ない」

 この言葉の裏には、移籍市場の現実がある。FAやポスティングで契約を勝ち取る際、一般的に救援より先発の方が契約年数、年俸総額とも大型化しやすい。代理人側が「先発投手」として売り込みをかける展開は十分に想定されるだけに、米スカウトもその見極めに神経をとがらせているわけだ。

 もちろん、より良い条件を求めて市場価値を高めるのは、日米を問わずプロアスリートとして当然のことだ。このまま先発でシーズンを走り切り、2023年以来の2桁勝利、規定投球回到達を果たせば、キャリア上まだ厚いとは言えないスターターとしての信頼度は一気に増す。実際に米球界がどの役割で見るにせよ、今季の平良が先発にかける本気度は、数字以上に重い。