阪神・森下翔太外野手(25)が審判員への暴言で退場処分となり、7日にNPBから厳重注意と10万円の制裁金を科せられた。

 本拠地・甲子園での楽天戦が雨天中止となったこの日、森下は「チームに迷惑をかけたので切り替えて頑張ります」と語った。感情が表に出たことの是非は別として、自分が退場することでチームに痛手を与えた。その自覚はあるのだろう。藤川監督は「チームとしてはもう過ぎたこと、それから明日へ向かう」と言い切った。個人の感情や過去の出来事にチーム全体が引っ張られないよう、意識した言葉だったとみられる。

 古い話に「王ボール」「長嶋ボール」という言葉がある。もちろん、公式的にそんな判定基準があったわけではない。追い込まれた場面で、外角低めに際どい球が来る。ストライクとコールされてもおかしくない一球が王貞治、長嶋茂雄ならボールになる――。そんな半ば伝説のような話だ。

メジャーで導入されているABS(ロイター)
メジャーで導入されているABS(ロイター)

 タイトルを獲得した経験を持つ球団OBも「俺も現役の時、タイトルを取ってからは判定が優しくなった気がするなあ」と話す。実績を積み、球界の中で「顔」になっていくと、際どい球への見られ方も変わる。球場に来たファンは王の一本、長嶋のひと振りを見たい。スーパースターの打席を際どい判定で終わらせていいのか。そんな暗黙の了解が昭和のプロ野球には漂っていた。

 だが、現在は令和である。今のファンが求めているのは味方に有利な判定ではない。少なくとも建前としては、誰もが納得できる平等な判定が好まれる。ネット上に映像が何度も流れ、即座に検証される時代にあいまいな基準はリスクを生む。

 メジャー流のロボット審判、ABS導入を巡る議論がネット上で広がるのも、もはや当然の流れだろう。どれが最適解なのかは誰にも分からない。審判の権威、選手の納得、加えてファンの信頼を守るためにも…。判断基準を本気で整える時期に来ているのかもしれない。