2006年トリノ五輪フィギュアスケート男子金メダルでロシアフィギュアスケート界のレジェンドでもあるエフゲニー・プルシェンコ氏(43)が、自身の指導する有望株の息子アレクサンドル(13)が国際舞台を求めてアゼルバイジャン国籍の取得を発表してロシアで大きな波紋を呼んでいる。

 ロシアはウクライナ侵攻により国際大会への出場が禁止されており、他国の国籍を取得するアスリートが続出している。そしてプルシェンコ氏の愛息で注目選手に飛躍しているアレクサンドルが、アゼルバイジャンのスポーツ国籍を5年間取得したことが明らかになった。

 プルシェンコ氏はロシア国営通信社「RIAノーボスチ」で「どうなるか見てみよう。サーシャはまだとても若く、わずか13歳だ。彼はロシア代表チームのメンバーではなく、様々な理由で今シーズンは試合に出場していなかったので、隔離期間を過ごした。彼は誰かの代わりを務めたわけではなく、私のプライベートアカデミーでトレーニングしていた」と語り、アゼルバイジャンへの国籍変更により国際舞台へ出場する意欲を示唆した。

 しかし、プルシェンコ氏はプーチン大統領に忠誠を誓う発信をたびたび行っており、愛国心を高めるショーも開催してきたことから、同国内では〝裏切り〟として批判が高まっている。

 ロシアメディア「チャンピオナット」は「彼の父である、オリンピック2連覇の名選手エフゲニー・プルシェンコは、繰り返し自らを祖国の愛国者と称していた。しかし、息子が国旗を変えるのは反逆行為ではないのか」と激しく糾弾する。

 さらに「プルシェンコ氏は息子の金のためにロシアを裏切ったのか」と追及。「グノム・グノミッチ(アレクサンドル)は疑いなく才能にあふれ、若くして複雑な要素に挑戦することに大きな情熱を燃やしている。オリンピックチャンピオンの指導の下、その経験とリソースを活用すれば、彼は歴史に名を刻む可能性を秘めている」と有望株の流出を嘆いた。

「より興味深いのは、このような移籍の倫理的な側面だ。ロシア屈指の名将であるプルシェンコ氏は、有望な選手を育成して代表チームを強化することに尽力すべきである。今回の移籍は、監督の哲学に反するものであり、いずれにせよ疑問の余地がある。あるいは、エフゲニー氏は息子のために自らのルールを曲げているのかもしれない。端的に言えば、彼は息子を大きな勝利に導くためなら、どんな手段もいとわないということだ」と息子を国際舞台で飛躍させるために祖国を裏切ったと強く非難している。

 ロシアフィギュアスケート界のレジェンドの衝撃的な決断は物議を醸しそうだ。