この一戦に限れば、構図はシンプルだ。6月27日、福岡国際センターで行われる九州プロレス設立18周年記念大会「九州超元気祭」。第18代九州プロレスタッグ王者のTAJIRIと永田裕志に、挑戦者の筑前りょう太とX(エックス)が挑む。ただ、その中身は単純な王座戦には収まらない。「僕と永田さんが防衛するかうんぬんより、その筑前さんと組むXが誰かって、それが一番じゃないかな」。視線は自然と、もう一つの要素に向かう。

 タッグマッチは4人で成立する。ただ4人がいるだけでは試合にはならない。「その人間の関係性がないタッグマッチは面白くもなんともないんですよ」。誰と誰が組み、どうぶつかるのか。その組み合わせによって、試合の空気は大きく変わっていく。王者組に経験と安定感がある一方で、挑戦者側には未知の要素が残されている。

 今回のカードでは、筑前が年に一度の出場という特性を背負い、その横には正体不明のXが立つ。情報が限られているからこそ、見る側はそこに意識を向ける。相手が分からない以上、どんな試合になるかも簡単には見通せない。そこに、この王座戦を単なる防衛戦で終わらせない要素がある。

 分からないからこそ、見る側は想像する。どんな選手なのか、どういうタイプなのか。カードが発表された時点で、観客の頭の中ではすでに試合が始まっている。誰が出てくるのか分からないまま迎える時間も、この試合の一部になっていく。「やっぱ気になりますよね、そこは」。TAJIRI自身も、その未知の部分に視線を向けている。

 タッグはシングル以上に、組み合わせによって色が変わる。4人のバランスがかみ合うかどうかで、試合の空気そのものも変わっていく。未知の要素が一つ加われば、読みづらさはさらに増す。「だからタッグって面白いんですよね」。誰と誰がどうかみ合うのか。その不確定さも含めて、試合の魅力になっていく。

 6月27日、その構図がどう動くかはリングの上で決まる。誰が勝つかも含めて、その組み合わせがどう作用するか。正体が見えない時間を経て、リング上で何が起きるのかが、この試合の見どころになる。