ヤンキースに火をつけたのは、指揮官の退場劇だったのか。チームは現地時間19日(日本時間20日)、本拠地ヤンキー・スタジアムで昨季ア・リーグ覇者のブルージェイズに5―4で競り勝ち、同地区対決で2連勝を飾った。30勝19敗でア・リーグ東地区2位。首位レイズ(32勝15敗)とは3ゲーム差に迫り、一時の停滞感を振り払い始めている。

 試合中盤、場内の熱を一気に引き上げたのがアーロン・ブーン監督(53)だった。問題の場面は7回終了後。走者一塁からジャズ・チザム・ジュニア内野手(28)の中飛性の打球を、ブルージェイズのドールトン・バーショ外野手(29)が中堅でダイビング捕球したと判定された。ブーン監督はこれを「捕球ではない」と見て、二塁塁審のブレナン・ミラー審判に猛抗議。ダッグアウトを飛び出し、今季2度目の退場を宣告された。

 伏線もあった。4回にはアンソニー・ボルピー内野手(25)の二盗失敗を巡ってチャレンジを使ったが、長いビデオ判定の末にアウト判定は変わらなかった。そのため7回のプレーではチャレンジ権が残っていなかった。ブーン監督は試合後、2つの判定に納得できなかったとしつつ、自身も熱くなり過ぎたことを認めたという。インド系の米メディア「スポーツキーダ」によれば、ミラー審判は2019年7月18日にも、ブーン監督の有名な「野蛮人」発言を引き出した因縁の相手。7年越しの再衝突だった。

 これでブーン監督の退場は通算48度目。現役監督ではレッズのテリー・フランコナ監督(67)に次ぐ2位で、トミー・ラソーダ元監督、ビリー・マーティン元監督ら血気盛んな名将と並び、歴代26位タイに浮上した。現役屈指の〝退場王級〟指揮官と言っていい存在だ。

 ただし、ヤンキースはその熱量を白星に変えた。3点を追う4回、ライアン・マクマーン内野手(31)が同点3ラン。5回にはベン・ライス内野手(27)が勝ち越しの16号2ランを放った。先発ウィル・ウォーレン投手(26)は5回3失点で6勝目。救援陣は9回にゲレロの犠飛で1点差に迫られたが、9回のマウンドに立ったカミロ・ドバル投手(28)が踏みとどまった。

 退場がチームを動かしたと断じるのは、確かに短絡的かもしれない。それでも苦しい流れを経て本拠地で勢いを取り戻し、昨季覇者を連破した事実は重いはずだ。闘将ブーン監督の激情は単なる騒動ではなく、首位再浮上へ向かうヤンキースの温度そのものを映している。