ドジャースの山本由伸投手(27)は今季のサイ・ヤング賞の有力候補だ。ロサンゼルス・タイムズ紙のビル・シャイキン記者は8日(日本時間9日)に「山本由伸のサイ・ヤング賞獲得は、ドジャースの3連覇計画と相容れない」と題したコラムを掲載。サイ・ヤング賞の投票者が重視する指標のうち、「200イニング」を積み上げるためには、球団が推進するポストシーズン重視の投手管理方針と矛盾が生じると指摘した。

 過去にサイ・ヤング賞受賞とワールドシリーズ制覇を同年に達成した投手は、1956年に同賞が創設されてから140人中25人。2001年以降はランディ・ジョンソン(01年・ダイヤモンドバックス)とジャスティン・バーランダー(22年・アストロズ)の2人だけだ。

 ドジャースでは過去4年間、200イニングをマークした先発投手は皆無。山本の昨季登板数も173回2/3にとどまった。ロバーツ監督は「特定の数字に向けて起用法を変えるつもりはない」と球団方針の優先を明言しており、同記者は「ドジャースが現在の成功スタイルを維持する限り、山本がサイ・ヤング賞の伝統的な二大指標に到達する機会は与えられないことになる」と危惧する。もう一つの指標に「20勝」を挙げているが、直近は「200奪三振」だろう。

 ドジャースにはサイ・ヤング賞受賞投手が過去12人いるが、同賞受賞と世界一を同時達成したのは1988年のオーレル・ハーシュハイザーが最後だ。レギュラーシーズンで驚異の267イニング、ポストシーズンで42回2/3を投げた。ハーシュハイザー氏も「山本ならもっと投げられる。だが、時代は変わった。ワイルドカードを狙うチームなら山本をもっと投げさせるだろうけど、毎年10月を見据えるドジャースには計画がある」と話したという。

 山本は昨季30試合に先発。1試合あたりあと1イニング投げていれば、200イニングに達していた計算になり、日本時代には2度、193イニングを投げており、平均7・4イニングをマークした実績もある。

 そのため、同記者は「山本がドジャースのエースならば、もう少し長く使うことがチームの勝利確率を最も高める」と訴えるが、ハーシュハイザー氏は「ブルペンが豊かになり、球団がそこにお金をかけるようになった。今の選手たちも我々と同じことはできると思う。ただ、そうするよう求められていないだけだ。時代と文化が違う」との見解を示すとこう付け加えた。

「うちの投手たちは、週1回の登板でもサイ・ヤング賞を取れるチャンスがあると思う、より重要な試合が来るまでは。そうなれば、これまでがそうだったように、中0日で戻ってくるかもしれない」

 昨季のメジャーで200イニング超は3人だけ。サイ・ヤング賞を受賞したスクバル(タイガース)は195回1/3でスキーンズ(パイレーツ)は187回2/3だった。21年のバーンズ(ブルワーズ=現ダイヤモンドバックス)は167回で受賞した。イニング数は大事な指標かもしれないが、重要なのは中身だ。