フィギュアスケート 世界選手権(チェコ・プラハ)で女子ショートプログラム(SP)が25日に行われ、日本代表で今季限りでの引退を表明している坂本花織(25=シスメックス)が今季世界最高となる驚異の79・31点をマークし、首位発進した。

 いよいよ最後の舞台を迎えた坂本は、勢いよくリンクへと飛び出していく。冒頭の3回転ルッツを見事に着氷すると、そこから〝花織劇場〟の開演だ。続くダブルアクセル(2回転半ジャンプ)を決めると、後半の3回転フリップ―3回転トーループも見事な切れ味で成功。全身を使いながら手足の先まで繊細に使いきる持ち前の表現力を存分に発揮。完璧な演技を終えると、左腕を高々と突き上げて会心のポーズ。会場のファンからは大歓声が沸き起こり、感動のあまり泣き出すファンも続出した。

 リンクサイドに戻って中野園子コーチとハグして喜びを分かち合う。キスアンドクライで今季世界最高得点が発表されると「あー! あー!」と歓喜で絶叫。会場全体が祝福ムードに包まれた。

 世界が坂本に注目する中、強国でありながらウクライナ侵攻により国際大会から排除され他国批判を続けるロシアメディアも異例の扱いで〝惜別特集〟を展開した。

 同国メディア「スポーツ」は「浅田真央以来、最も信頼性が高く、安定していて、成功を収めた日本人フィギュアスケーターだ」と称賛し、そのキャリアを詳細に振り返った。

「花織は同世代で唯一、競技生活を一度も中断したことがない選手だ。13年近くもの間、大きな休止期間は一度もない。ジャンプする脚が何か月も痛む時も、心理的な問題があった時も彼女は競技を続けた」と心身両面の強さを評価する。

 そして「彼女の歩みは、自分自身を破滅させたり、周囲の人々を傷つけたりすることなく、スポーツにおいて長く、そして幸せな人生を送る方法を示す好例だ。その過程で主要な大会すべてでメダルを獲得している」と最高の手本だと絶賛。「これこそフィギュアスケートを観戦し、練習するよう促す、最も説得力があり、誠実な呼びかけではないだろうか。花織がここにいてくれてよかった」と賛辞の言葉を贈った。

 27日(日本時間28日)のフリーで女王のラストダンスに注目が集まる。