賜杯が遠い…。大相撲春場所14日目(21日、大阪府立体育会館)、横綱豊昇龍(26=立浪)が大関琴桜(28=佐渡ヶ嶽)に屈して4敗目。またしても、横綱初優勝を逃した。

 豊昇龍は勝てば首位の関脇霧島(29=音羽山)と1差に接近し、千秋楽に逆転Vの望みがつながる状況で結びの一番を迎えた。しかし、琴桜にもろ差しを許して寄られると、苦し紛れの投げも呼び込んだだけ。最後は外掛けであおむけに倒された。この瞬間、霧島の優勝が決定。結び前に霧島が敗れて巡ってきたチャンスを生かすことができなかった。

 横綱は賜杯を抱いて初めて〝一人前〟と見なされる風潮があるなか、豊昇龍は在位7場所でいまだに優勝経験がない。

 審判部長の高田川親方(元関脇安芸乃島)は、この日の取組について「強引にいき過ぎた。投げにいって自分で体勢を崩した。豊昇龍の一番、悪いところが出た」と分析。V逸が続くことについては「今日みたいなところ。強引に投げるようなところが出ると、墓穴を掘る」と大きな要因に挙げた。

 師匠の立浪親方(元小結旭豊)は「いかに前半に星を落とさないか。これも勉強」と改めて指摘する。在位7場所で金星配給は15個。前半での格下への取りこぼしの多さは、優勝を果たす上での課題だ。

 豊昇龍はこの日の取組後に支度部屋に戻ると「ちくしょー、クソッ!」と悔しさをあらわにし、霧島がテレビの優勝インタビューで涙を浮かべる姿を眺めながら「なんで泣いてるんだろうな」とポツリ。風呂場から出ると自ら人さし指で「×」印をつくって報道陣の取材には応じなかった。

 果たして、横綱は「強引さ」と「金星配給」の課題を克服することができるのか。ここから真価が問われることになりそうだ。