17日(日本時間18日)にマイアミのローンデポ・パークで行われるWBC決勝の米国対ベネズエラ戦を前に、米国代表の舞台裏に漂う〝異質な熱〟がクローズアップされている。

 英有力紙「ガーディアン」は、今年1月にニコラス・マドゥロ大統領夫妻が米軍によって拘束されたベネズエラ情勢を受け、米国代表内で「軍とのつながり」や愛国意識がこれまで以上に強く共有されている実態を報じた。

 同紙によれば、マーク・デローサ監督(51)率いる米国は今大会、勝利後に選手同士が敬礼を交わす場面が目立ち、元ネイビーシールズ隊員のロバート・J・オニール氏をロッカールームの〝スピーカー〟として招へい。さらにポール・スキーンズ(23=パイレーツ)、グリフィン・ジャックス(31=レイズ)の両投手は空軍士官学校に通った経歴を持ち、軍への敬意を公然と口にしているという。デローサ監督も「だからこそ胸にUSAを着けている」と述べ、その空気を隠さなかったと伝えられた。

 この〝戦う米国〟の色合いは、陽気さを前面に出す他国と対照的だ。イタリアは本塁打後にエスプレッソをベンチで一気に飲み干し、ドミニカ共和国は熱狂的な祝祭感で押し切る。そしてベネズエラは試合前のチームダンスを恒例化させ、「これが自分たちの野球だ」と誇ってきた。決勝は単なる頂上決戦ではない。米国の規律と緊張感、ベネズエラの情熱と解放感が、グラウンド上で真正面からぶつかる構図になる。

 もっとも、この米国流にも賛否はある。オニール氏の起用には批判も噴出し、メキシコ代表ランディ・アロザレーナ外野手(31=マリナーズ)が同じ所属チームだからこそ求めた握手を米国代表カル・ローリー捕手(29=マリナーズ)が拒否した一件も波紋を広げた。ガーディアンは、決勝を前にした米国代表が、野球の強さだけでなく「何を背負って戦うのか」まで問われる存在になっていると描いた。

 2度目の優勝を狙う米国か、それとも初戴冠を懸けるベネズエラか。決勝は野球の勝敗以上に、両国の空気そのものを映す9イニングになりそうだ。