あの男の復活なくして世界一は描けないのかもしれない――。第6回WBCで連覇を目指す野球日本代表「侍ジャパン」は11日、準々決勝が行われる米マイアミに降り立った。ここからは負ければ終わりの一発勝負のトーナメント。1次ラウンドC組を全勝で首位通過した日本にとって今、最大の懸案は打線のキーマン・近藤健介外野手(32=ソフトバンク)の不振。開幕から12打数無安打と状態の上がらない絶対的主力の復調が連覇の鍵を握っているのは間違いない。

 1次ラウンド最終戦となった10日のチェコ戦で日本は主軸の大谷(ドジャース)、鈴木(カブス)、近藤に休養を与える一方で、周東佑京外野手(30=ソフトバンク)らを今大会初めてスタメンで起用した。金子誠ヘッドコーチは「佐藤、森下(ともに阪神)、周東の先発、いろんな可能性、今日の試合でしかできないことはやった」と意図を説明。「可能性」という言葉に、腹案として近藤の代打起用プランがあることを否定しなかった。

 短期決戦においては、選手の好不調の見極めが重要であることは百も承知だ。球界屈指の脚力を持つ周東は高い守備力に加えて、チェコ戦では豪快な3ランを放つなど打撃でも状態の良さをアピール。待望論を巻き起こすように、準々決勝以降のスタメン起用に応えられるだけの準備が整っていることを証明した。

 だが、井端監督の参謀役を務める金子ヘッドは「攻撃力もあるんで早めにいっても攻撃のところに期待できる。ただ、幅は広いんですけど、1人しかいないんですよ…周東佑京は」と吐露。「やっぱり勝負どころに。相手がかき回されるような動きになるんで。どういうふうに取っておくのか。切り札が少ないだけに…」と、最も効果を発揮する周東の起用法に言及した。

 相手にとって、周東がベンチに控える脅威は計り知れない。逆に終盤の切り札として投入する展開に持ち込めなければ苦しい。周東を残しておくためには、頭からいく主力陣の奮起は不可欠で、何といっても近藤の復調こそがチームに安定をもたらす。四球を選べ、守備力もある。近藤を信じ、復活の時を待つ――。マイアミではチーム力を最大化しなければ勝てない戦いがあるのも確かだ。