鷹党なら一度は“和子さん”の名前を目にしたことがあるだろう。X(旧ツイッター)のフォロワーは18万人以上。福岡ソフトバンクホークス広報室広報企画課課長の加藤和子さん(47)だ。オフィシャルリポーターとして選手の素顔や球団の魅力を伝える情報発信の現場に長く携わり、現在はイベントや球団事業のPRを担う広報の中心的存在となった。ホークスの魅力をどうファンに届けるのか――。その視点を大切に、舞台裏から発信を続けている。
加藤さんが現在担当するのは、球団事業全体のPRだ。「鷹祭 SUMMER BOOST」やピンクフルデーといった大型イベントのほか、グッズやグルメ、BOSS E・ZO FUKUOKAの情報発信まで幅広い。どうすればメディアに取り上げてもらえるのか、ファンに興味を持ってもらえるのか。そんな視点で発信を組み立てているという。2022年には、それまでの個人事業主から球団正社員へと立場を変えた。「会社員が務まるのかという不安もありました」と振り返るが、自身が続けてきた活動が球団の部署として形になると聞き、挑戦を決断した。
課長としてメンバーを抱える立場になったことも大きな変化だった。これまで自分で考えて動くことが多かった仕事から、チームで進める形へと変わった。「今も日々勉強です」と率直な思いを口にする。ホークスとの関わりは06年ごろにさかのぼる。球団公式メディアの立ち上げに携わり、選手インタビューやコンテンツ制作を担当した。当時の現場は男性が多く、「最初は『なんでいるの?』という雰囲気もありました」と苦笑する。それでも福岡大まで続けたバスケットボール部で培った体育会系の負けん気を支えに現場に立ち続け、少しずつ仕事の幅を広げていった。
その中で生まれたのがブログ「HAWKS和日記」や動画企画「和子の部屋」だ。選手の写真や裏側のエピソード、インタビューを通して試合では見えない日常の姿を伝え、ファンに選手を身近に感じてもらうことを目指してきた。「試合では見えない普段の姿を伝えて、ファンの方に選手を身近に感じてもらえたらと思っていました」と当時の思いを語る。長く現場に関わる中で、最も印象に残る場面は優勝直後のグラウンドだという。「その笑顔をファンの方に届けられた時は、やっていて良かったと思いました」と振り返った。
コロナ禍では、直接情報を届けることが難しい状況にも直面した。オンライン企画や配信などを模索しながら、「どうすれば選手の姿をファンの方に届けられるか」を考え続けた日々だったという。自宅では保護猫2匹と暮らす。名前はムーとオハナ。忙しい日々の中で「家に帰ると猫に癒やされています」と笑顔を見せ、最近は1日5分の英会話にも取り組んでいる。
大切にしている言葉を尋ねると「ありきたりですが『感謝』です」。現場の人たちに支えられて今の仕事があるという思いが、そのひと言に込められている。「今後は選手だけでなく、球団事業の魅力も伝えていきたい」ときっぱり。イベントの表舞台だけでなく、その裏で働く社員の姿にも光を当てたいという。
そして昨季、リーグ連覇を果たした瞬間の記憶をこう振り返った。「優勝が決まった瞬間に、プレスリリースや会見場の準備のことを考えていました」と笑う。歓喜の輪の外で、ファンにどう伝えるかを考える。裏方としてホークスを支える加藤さんの日常は、そんな瞬間の連続だ。















