盛大な〝フリ〟なのか…。WBC日本代表が大会連覇に向けて前進を続けている。侍ジャパンは10日のチェコとの1次ラウンド最終戦(東京ドーム)を経て、14日(日本時間15日)にマイアミで準々決勝に臨む。今大会でDH登録されている大谷翔平(31=ドジャース)は投手として登板しないと見込まれているが、ここへきて「猫だまし作戦」との見方も広がっている。

 C組を3戦全勝で突破した侍ジャパンは9日に一部の選手が軽めの調整を行い、チェコ戦に備えた。初戦の台湾戦は7回コールドの圧勝、韓国戦とオーストラリア戦は逆転勝ちを飾った。下馬評通りの結果を見せているが、課題も抱えている。その一つが〝守護神不安〟だ。

 セーブシチュエーションが訪れた2試合ではいずれも大勢投手(26=巨人)が登板。8日のオーストラリア戦は1イニングでソロ2発を浴び、三者凡退で抑えた7日の韓国戦も154キロの直球を外野フェンス際まで飛ばされた。

 準々決勝から始まるマイアミ決戦までに調子を取り戻す可能性もあるが、球界関係者の間では「マイアミで当たる相手は1次ラウンドの比ではない。ハッキリ言えば、今のままなら不安」とも指摘されている。

 そうしたチーム事情も踏まえ、にわかにささやかれているのが、大谷の1試合限定となる電撃登板だ。前出関係者は「前回の決勝のように、最後の最後に大谷が投げる可能性はゼロではないと思う。仮に打たれて負けたとしても、大谷なら誰もが納得できる。クローザーの条件の一つはチームが心中を受け入れられるかどうか」と言い切った。

2023年大会決勝では、米代表のトラウトを空振り三振に仕留めて試合を締めた大谷翔平
2023年大会決勝では、米代表のトラウトを空振り三振に仕留めて試合を締めた大谷翔平

 大谷のWBCでの登板を巡っては、所属球団であるドジャースのフリードマン編成本部長やロバーツ監督が否定的な見解を示している。大谷も球団側との協議を経て「納得はしている」と話し、2023年大会の伝説的な幕切れを引き合いに「最後にトラウト選手が出てくるなら(登板も)あるかもしれないですね」とのジョークも飛ばした。トラウトは今大会の米国代表に選出されておらず、登板の可能性は限りなくゼロに近いことを示唆したわけだが、それでもくすぶるのは、大谷自身が前回大会で見せた行動にあるという。

 別の球界関係者によると「当初、吉井投手コーチ(当時)も決勝で大谷が投げる構想は練っておらず、別の投手を起用する予定だった。そこへ大谷と(決勝の8回に登板した)ダルビッシュが『投げる』と言い出し、本人たちがそれぞれの球団にかけ合って許可をもらったと聞いている」と打ち明ける。つまり、心変わりした大谷が〝投げる〟と言えば、ドジャースも首を縦に振らざるを得なくなるかもしれないというわけだ。

 大会規定には「(野手による)大会中の登板は大会本部(試合運営技術委員会)の許可が必要」とあるが、前回と同様の記述だった。異なるのは「二刀流」から「指名打者」に変わったポジション登録だが…。

 現状ではライバルチームからも「投手・大谷」はノーマーク状態。WBC出場に必要な保険への加入も大谷自身が「そこは問題ないのかな」と話している。ドジャースのシーズン開幕を見据え、投手としての調整も進める大谷が究極の場面でマウンドに上がれば、世界がひっくり返ることは間違いない。

 今回はどんなドラマが生まれるのか。侍ジャパンの戦いぶりから最後まで目が離せない。