混乱の中で迎えた新シーズンに、覚悟を決めた指揮官がいる。J1福岡は今季、塚原真也暫定監督(40)の下で再出発を切った。コンプライアンス抵触行為により金明輝前監督が契約解消となり、急転直下の体制変更。限られた準備期間ながら、それでも目線はぶれない。「継承」と「整理」、そして「競争」。これまで積み上げてきた土台をどう次につなげるのか。新指揮官に胸中を聞いた。

インタビューに応じた塚原暫定監督
インタビューに応じた塚原暫定監督

 ――暫定監督としてチームと向き合う上で、最も大切にしていることは

 塚原 まずはポジティブでいること。いろいろあったスタートだからこそ、選手が前を向きやすい言葉掛けや方向性を示すことを一番に考えている。

 ――金前監督の退任をどう受け止めた

 塚原 クラブが決めたことなので、それに従って全力でやるだけ。選手には、前に進むことは変わらないと伝えた。

 ――昨季までのサッカーで引き継ぐべき部分は

 塚原 守備のベースと我慢強さは、長谷部監督の時代から積み上げられてきたもの。金前監督の下で、そこに「どう点を取るか」という要素が加わった。その流れは継承していきたい。

 ――新体制発表会で掲げた「継承」という言葉にも通じる

 塚原 そう。ゼロからつくり直すのではなく、積み上げてきたものを整理し、次につなげる。

 ――「危機感」という言葉も発している

 塚原 一番は若手の突き上げ。奈良や見木など、スタートだと思われている選手のポジションを奪いに来る姿勢がもっとほしい。

 ――本気度を感じる選手の基準は

 塚原 天井を突き上げるようなアクション。プレーだけでなく、発言や姿勢も含めて、指導者が引き上げたくなるものがあるかどうか。

 ――ベンカリファ、ザヘディら外国人選手に求めることは

 塚原 得点だけではない。守備の強度と連続性も含めて、チームの一部としての働き。

 ――自身の色として、変えていきたい部分は

 塚原 変えるというより整理。守備も攻撃も整理した上で、強度と精度を上げたい。

 ――攻撃面で、今チームに足りない要素は

 塚原 ペナルティーエリア内での落ち着きとクオリティー。

 ――「全員がゴールに関わる」ために必要な共通意識は

 塚原 走って追い越すこと。うまい選手が持つだけではなく、うまい選手が走ることが重要。

 ――練習試合を通して感じている手応えと課題は

 塚原 コンディションはまだ上げられる。得点に直結する部分の精度も、さらに高めたい。押し込まれる時間帯での我慢強さは、より根付かせたい。

 ――奈良をキャプテンに任命した理由は

 塚原 4年連続でキャプテンを任せることになるが、チームを締めるところ、緩めるところ、自分が示すべき場面を理解している選手。プレーでも姿勢でも示せる存在だからこそ、さらに強いメンタリティーを期待している。

 ――若手とベテランをどう融合させていく

 塚原 ベテランは背中で示し、若手は追い越す。それが競争。

 ――現時点でのチーム状態は

 塚原 ベースはあるが、基準はまだ上げられる。攻撃の鋭さ、武器を増やしたい。

 ――オフの過ごし方は

 塚原 休みの日は家族と過ごすことが一番のリフレッシュ。息子とは、時間があれば一緒にボールを蹴っている。娘はすごく活発で元気がいいが、サッカーはしてほしくない。絶対に日焼けしてほしくない(笑い)。母も妻も音楽をやっていて、音楽が身近にある環境なので、できれば音楽の方に進んでほしいという気持ちはある。

 ――暫定という立場で指揮を執る覚悟は

 塚原 立場に関係なく、勝利に向けた準備をする。それだけ。

 ――今季、リーグでどういう存在でありたい

 塚原 上位に食い込めるクラブ。

 ――サポーターへメッセージを

 塚原 前向きに、本気で走る姿を見せたい。勝利と感動にこだわる。

チームの立て直しを目指す
チームの立て直しを目指す

 ☆つかはら・しんや 京都府出身。京都パープルサンガユースでプレーし、京産大を経て社会人クラブでも活動。現役時代から指導にも携わり、関西圏クラブやJクラブのアカデミーなどで経験を積んだ後、FC大阪の指揮を執った。2024年にJ1福岡のトップチームコーチとして加入し、25年はヘッドコーチ、26年1月に暫定監督に就任。