トランプ大統領は21日、スイス東部ダボスで演説し、領有をもくろんでいるデンマーク自治領グリーンランドについて、支配するために軍事力を使うつもりはないと表明し、欧州首脳を喜ばせた。では、どう手に入れるつもりなのか。ウルトラCが検討されているようだ。

 トランプ氏はダボス会議での演説で「武力を使う必要はない。使いたくない。武力は使わない。米国が求めているのはグリーンランドと呼ばれる場所だけだ」と述べ、グリーンランド獲得のための即時交渉を求めた。

 ちなみに演説の中で何度も「グリーンランド」を「アイスランド」と言い間違え、バイデン前大統領の政権末期と比較された。SNSでは、最近のわがままな暴走ぶりと言い間違えについて、「健康不安説」がささやかれた。

 その後、NATOのルッテ事務総長と会談し、グリーンランドと北極圏をめぐる「将来の合意に向けた枠組み」について合意したと発表した。会談後、トランプ氏は領有に反対する欧州のNATO加盟国8か国への追加関税を撤回すると語った。

 一方、ロシアのプーチン大統領は21日、オンライン安全保障会議で、米国がグリーンランドを購入する場合、2億~10億ドル(約317億~1587億円)になるとの試算を明かした。ロシアが19世紀にアラスカを米国に売却した事例からの試算だという。しかし、デンマークは「島は売り物ではない」と繰り返している。

 そんな中、トランプ氏は人口5万7000人のグリーンランド住民に対し、独立して米国と手を組むなら、一人当たり100万ドル(約1億5875万円)を支払う案を検討しているという。英紙デーリー・メールが報じた。

 全員に配ると570億ドルという巨額になるが、米国の毎年の防衛予算は約9000億ドルだ。トランプ氏はグリーンランドに眠るレアアースなどの鉱物資源の他、「中国とロシアからの防衛」の最重要拠点とみて、ミサイル防衛体制「ゴールデン・ドーム」を確立する狙いがあるという。

 グリーンランド〝領有〟のためにはデンマークから購入するのと、武力侵攻という手段がある。ほかにはパラオ、マーシャル諸島などと結んでいるように「自由連合盟約(COFA)」を締結する手がある。これは独立国であり続けながら、独立を保ったまま、防衛と一部機能を米国に委ねる特別な国家関係となる。そのためには、グリーンランドがデンマークから独立することが必要となる。住民投票で独立の是非を問うのだ。

 メール紙によると、住民投票で独立に賛成するとして、全住民が100万ドルを受け取るには、少なくとも60%という決定的多数が米国参加に賛成する必要があると見られているという。ぎりぎり過半数では、受け取ることができないようだ。

 米国事情通は「以前、領有のためにトランプ政権が住民一人あたり最大10万ドル(約1586万円)の一時金を支払う案を協議していると報じられました。それぐらいの額ならば、住民は長期的にはデンマークからの補助金の方が価値があるということになりました。また、高福祉国家のデンマークに比べ、米国は低福祉なので不安もあります。そこでトランプ政権は、100万ドルという額を想定しているのでしょう」と指摘した。

 NATOの軍関係者らは、デンマークがグリーンランドの「小規模な区域」を米国に譲渡し、そこに米軍基地を建設できるようにする案について協議したというが、それでは米国としては鉱物資源の全てを入手できないことになる。

 前代未聞の〝お金配り〟は実現するのか…。