2026年ミラノ・コルティナ五輪最終選考会を兼ねたフィギュアスケートの全日本選手権が21日に幕を閉じ、各種目の代表選手が決定した。女子は5連覇の坂本花織(25=シスメックス)が3大会連続の代表に内定。シニア転向1年目の中井亜美(17=TOKIOインカラミ)も初代表の座を勝ち取った。エースとヒロイン候補の滑りはプロの目にどう映ったのか――。五輪2大会連続出場の鈴木明子さん(40)が分析した。

 今季の坂本はフリー曲に「愛の讃歌」をセレクト。憧れの人である鈴木さんが現役最終年に使用した名曲を、自身の現役最終年に演じる決断をした。現地で今大会のフリーを見守った鈴木さんは「シーズンが進んできて、当初よりも洗練されている。深みのあるプログラムになっていて、坂本選手にしかできない『愛の讃歌』になっていた」とたたえた。

 トリプルアクセル(3回転半ジャンプ)などの大技で勝負するのではなく、総合力の高さで世界に立ち向かうのが坂本のスタイル。五輪を見据える上でまだまだ伸びしろがあるとの見方だ。「もっと得点も伸ばしていけるだろうし、加点の部分で彼女の強みである質の高さをもっと求めていくことはできると思う」と強調する。

 かねて坂本は五輪での目標を「銀メダル以上」と公言。世界女王のアリサ・リュウ、トリプルアクセルが武器のアンバー・グレン(ともに米国)、ロシア出身で個人の中立選手(AIN)として出場する予定で4回転ジャンプを持つアデリア・ペトロシャンらがライバルとなるが、自身にフォーカスすることが重要になる。「集大成のスケートができれば、自然と結果がついてくる実力はある。この競技は総合的な要素が必要なスポーツ。彼女が磨き続けてきたスタイルで最後まで出し切ってほしい」と期待を寄せた。

男子王者の鍵山優真(左)を連れて、アンコールに登場した坂本花織.
男子王者の鍵山優真(左)を連れて、アンコールに登場した坂本花織.

 幼少期の頃からの夢だった五輪への道を切り開いた中井は、リカバリー力が垣間見えた。今大会のフリーはトリプルアクセルの回転が抜けるも、その他は大きなミスなくまとめた。「トリプルアクセルを失敗した後に、しっかりと切り替えて演じるのはすごく大切。トリプルアクセルの失敗をダブルアクセル(2回転半ジャンプ)の判定だと冷静に判断し、対処できたところが良かった」と高評価を下した。

 ジュニア時代は今大会2位の島田麻央(木下グループ)と切磋琢磨。早い段階からトップレベルのスケーターと対峙した点もプラスに働いている。「島田選手というジュニアで勝ち続ける選手と戦ってきたからこその強さを感じる」と指摘し、大舞台に向けては「自分のスケートを知ってもらえる一番大きな場所なので、伸び伸びと自分の力を発揮してほしい」とエールを送った。

 激しい選考レースを勝ち抜いた両者の実力はもちろん世界トップクラス。己の演技を全うした先に表彰台が待っている。