巨人一筋だったレジェンドが、新天地として選んだのは〝NPBの枠外〟にある球団だった。今季まで巨人の二軍監督を務めた桑田真澄氏(57)が、オイシックスのCBO(チーフ・ベースボール・オフィサー)に就任。電撃退団から約1か月半での異例の決断は、日本球界に少なからぬ衝撃を与えている。なぜ桑田氏は、あえて〝未知の場所〟へと舵を切ったのか。

 桑田氏のオイシックスCBO就任が14日に発表されると、球界内外からは大きな驚きの声が上がった。MLBのパイレーツでプレーした2007年を除き、NPBでは現役時代から指導者まで「巨人一筋」を貫いてきた同氏だけに〝サプライズ〟と目されるのも当然だろう。

 桑田氏は今季、若手主体の巨人二軍を率いて2年ぶりのイースタン・リーグ優勝を達成。しかし、宮崎で行われていたフェニックス・リーグ終了翌日に電撃退団した。球団側からはフロント入りの打診もあったが、これを固辞。一軍がV逸した責任を取る形で、静かに巨人を去る選択を下していた。

 突然の退団から約1か月半。NPBではジャイアンツのユニホーム以外に袖を通さなかった桑田氏が、独立リーグ球団を母体とするオイシックスへ身を投じるというニュースは、日本球界全体に強いインパクトを与えた。巨人内部でも「オイシックスを選ぶのは予想外だった」「復帰後は働き詰めだっただけに、少しは休養期間を設けると思っていた」など、多くの関係者たちが目を白黒させていた。

 一方で、この決断を「桑田さんらしい」と受け止める向きも少なくない。桑田氏に近い関係者は「桑田さんは回遊魚のような人。『人生は勉強の連続』と常々おっしゃっていたし、常に新しいことを吸収しようとする姿勢が、オイシックス入りを後押ししたのではないか」と語る。

 実際、桑田氏は巨人退団後、取材に対し「扉が閉まれば、また必要な扉が開くと思いますので、前向きに頑張ります」と話しており、環境が変わること自体を前向きに捉えていた様子がうかがえる。

 新天地となるオイシックスでは、単なる技術指導者ではなく、CBOとして球団運営にも関与する見込みだ。編成や育成、組織づくりといった領域まで踏み込む役割は、桑田氏にとっても新たな挑戦となる。NPBの名門球団で培ってきた知見を、異なるカテゴリーのチームにどう落とし込むのか。その手腕は日本球界全体にとっても、一つの試金石となりそうだ。

 巨人退団は、桑田氏自身にとっても想定外の結末だったことは想像に難くない。ただ、変化を恐れず、新たな環境に身を投じる姿勢は現役時代から一貫してきた〝桑田流〟とも言える。

 新潟の地で、再び開かれる新たな「扉」。その先で、桑田氏はどんな野球像を描いていくのか――。球界の視線が、静かに注がれている。