ドジャースがFA右腕エドウィン・ディアス投手(31)を3年6900万ドル(約107億円)でメッツから引き抜いたことに対し、米メディアやファンの多くは「王者の盤石補強」と絶賛している。ところが、その熱気に水を差す「異論」も静かに浮上しつつあるようだ。
米メディア「ファンサイデッド」は、むしろレッドソックスが今年の夏場に「ザ・ミサイル」の異名も持つ左腕アロルディス・チャップマン投手(37)と結んだ1年1330万ドル(約19億円)の契約延長こそ「賢明な判断だった」と真っ向から主張している。
同メディアは、まず同じリリーバーとして両者の今季成績を比較。ディアスは防御率1・63、FIP2・28、28セーブ、三振率38・0%、fWAR2・0。対するチャップマンは防御率1・17、FIP1・73、32セーブ、三振率37・3%、fWAR2.6。数字だけを並べれば、37歳の左腕が上回る項目も少なくない。
それにもかかわらずチャップマンを1年1330万ドルでキープしたレッドソックスに対し、ドジャースはディアスにその数倍を投じた。この落差に同メディアは「本当に価格差に見合うのか」と疑問をぶつける。
さらに指摘されるのがディアス特有の「不安定さ」だ。デビュー以来、奇数年は防御率3点超え、偶数年は3点未満という極端な波を繰り返し、安定感を欠いてきた。23年の欠場で周期は一度崩れたものの、同記事は「半分の年で不安定な投球をする投手に複数年および超高額の投資はリスクが大きい」と断じる。
もちろんチャップマンにも懸念材料はある。かつてMLB史上最速の球界最速105・8マイル(約170km)を記録し、今も3桁のマイル数を誇る剛球を武器とし続けているスタイルがいつまで保てるかは未知数だ。しかし、レッドソックスが延長を1年に限定した点は年齢リスクを最小化する巧妙な判断と評価される。
加えて今オフはリリーフ市場が高騰。カイル・フィネガン投手(34)が2年1900万ドル(約29億円)でタイガースに残留し、レイズがFAのスティーブン・マッツ投手(34)に2年1500万ドル(約23億円)でチャップマン超えの保証額を支払って契約するほどの「インフレ状態」だ。その中でレッドソックスがチャップマンを引き留めるために用意した1年1330万ドルは「市場の穴を突いた最適解」だという。
前出の「ファンサイデッド」は「ディアスはエリート。ただし〝額面分の優位性〟がない。チャップマンを適正価格で引き留めたレッドソックスの方が、結果的には賢い選択をした」と締めくくっている。
王者ドジャースの「完璧補強」に見えるディアス獲得だが、米国内では早くもこうした冷静な異論も噴出し始めている。













