MLBの労使関係を揺るがす〝スキャンダル〟が米国内で一気に噴き上がった。ニューヨーク・タイムズ傘下の米スポーツ専門サイト「ジ・アスレチック」が報じたところによれば、MLBコミッショナーのロブ・マンフレッド氏(67)が選手代理人と裏で情報をやり取りしていた疑惑に対し、MLB選手会(MLBPA)が激しく反発。「極めて露骨」「許されない裏切り」と、前代未聞の糾弾声明を出す事態となっている。
発端は、MLBPAが代理人ジム・マレー氏の資格停止に至った経緯をまとめた71ページに及ぶ懲戒文書。そこには、2020年のコロナ禍で行われた「選手給与交渉」の最中、マレー氏がマンフレッド氏と頻繁に連絡を取り、選手会の提案を〝握りつぶす〟よう助言していた実態が克明に記されていたという。
水面下でマレー氏は「(MLBPA専務理事の)トニー(・クラーク氏)は無視しろ」「譲歩するな」など、選手側の立場を弱める内容をMLB側へ送信。まさに〝二重スパイ〟のような振る舞いで、選手会は「選手の信頼を裏切り、リーグのためにスパイ活動を行った」と断罪した。
これに対し、マンフレッド氏は「代理人とリーグが連絡を取るのは昔からあること。特別な話ではない」と火消しを図ったが、選手会は真っ向から反論。「事実の歪曲だ。極秘情報を提供し、組合の意思決定を回避した行為は〝通常業務〟ではない」と声明文で糾弾し、同コミッショナーの姿勢そのものを「極めて問題がある」と批判した。
MLBは26年12月に団体交渉協定(CBA)が失効し、既に〝予備交渉〟が動き出している最中。マンフレッド氏は「2027年の試合中止(ロックアウト)を避けるのが目標」と語り、労使の協調姿勢を強調したものの、今回の〝スパイ騒動〟はその信頼関係に深い亀裂を生むことは必至だ。
表向きは「ビジネスは絶好調」「球場動員も視聴率も上昇」と胸を張るマンフレッド氏。だが、その裏側で進んでいた〝暗部〟が露呈した今、MLBの労使バランスはかつてないほど不安定な局面を迎えていると言えそうだ。












