今オフのストーブリーグで「ビッグ・サプライズ」と受け止められているのが、パイレーツの動きだ。借金20で今季ナ・リーグ中地区の最下位に沈み「節約球団」「金がない」などと揶揄されてきた球団が、ドジャース・大谷翔平投手(31)と激しいナ・リーグ本塁打王争いを繰り広げ、最終的にタイトルを獲得したフィリーズFAのカイル・シュワバー外野手(32)の獲得へ本気で踏み込んでいるというのだ。
発端は米スポーツ専門局「ESPN」のジェフ・パッサン記者のコメント。米ポッドキャスト番組「Talkin’ Baseball」は同記者の言葉として、パイレーツがシュワバーの獲得を今オフ最大のターゲットに定め「1億3500万ドル級の投資も辞さない姿勢を見せている」と伝えた。これを追う形で米メディア「エッセンシャリースポーツ」も、「実際に今オフのパイレーツはシュワバーのみならず、現在マリナーズ残留で合意間近となっているものの、FAのジョシュ・ネイラー内野手(28)の獲得交渉時に8000万ドルを一時提示したという情報もあり、これまでの消極姿勢が一変している」と報じている。
その裏には、「球団の顔」となったポール・スキーンズ投手(23)の大ブレークがある。新人王(2024年)とサイ・ヤング賞(25年)を連続受賞し、観客動員と収益は激増。さらに今季のトレードでヘイズ、ベドナーら主力の年俸負担を整理したことで、フロントが久々に〝使える資金〟を手にした。リーグワーストの長打率3割5分、本塁打117本という貧打線改善は急務で、シュワバー級のパワーヒッターはノドから手が出るほどに欲しい存在だ。
シュワバーは今季フィリーズで56本塁打を放ち、大谷に真っ向勝負を挑んで〝打ち勝った〟スラッガー。4年間で187本塁打という怪物的数字を残し、「同世代で最も優れた打者」とも称される。パイレーツの本拠地PNCパークの右翼スタンドとも相性は良く、加入すれば打線の主軸となるのは確実だ。
一方、ライバルはレッドソックス。ボストンも中軸強化が急務で、21年の1シーズンのみ在籍し過去に大成功した〝元祖シュワボム〟の古巣復帰はファン人気も含め最優先事項とされる。デバース移籍で中軸が手薄になっただけに、争奪戦は激化必至だ。
だが、今年のパイレーツはひと味違う。スケネスを中心とした再建スピードが一気に加速し、球団の空気は確実に変わりつつある。大谷のライバルとして名をとどろかせたシュワバーを本気で獲りに行く姿勢は、まさに〝弱者の反逆〟そのもの。これとは別に米老舗誌「スポーツ・イラストレイテッド」はパイレーツがNPBからポスティングシステムで今オフ、MLB挑戦を目指すヤクルト・村上宗隆内野手(25)と巨人・岡本和真内野手(29)の獲得にも興味を示していると伝えている。
長年眠っていたピッツバーグの名門が、本気で目を覚まそうとしている。












