体操の世界選手権(19日開幕、インドネシア・ジャカルタ)では、男子個人総合の新旧五輪王者の対決が実現する。2024年パリ五輪3冠の岡慎之助(21=徳洲会)が本紙の単独インタビューに応じ、21年東京五輪2冠の橋本大輝(24=日本生命・セントラルスポーツ)へ宣戦布告。星槎国際横浜高(神奈川)時代の同級生で、フィギュアスケート男子の鍵山優真(22=オリエンタルバイオ・中京大)に、26年ミラノ・コルティナ五輪金メダルへ向けたバトンをつなげる覚悟だ。

 9月上旬の全日本シニア選手権では、鉄棒のアップ中に落下して途中棄権。病院で「腰椎棘間靱帯損傷」と診断されたが、現在は心身ともに回復した。

 岡 不幸中の幸いというか、大きなケガではなかったけど、鉄棒でついた怖さがしばらく抜けませんでした。鉄棒だけじゃないけど、大事なところで脱力しないといけないのに、全体的に力んじゃって2倍しんどかったし、腰をかばって変な動きになったりするクセがなかなか抜けなかった。でも10月くらいからは理想の動きを出せるようになってきたので、やっと戦えるようになってきたなと感じています。

 五輪王者として挑む世界選手権は、意外にも岡にとって初出場だ。それでも重圧の懸かる一戦を間近に控え、冷静さが際立っている。

 岡 すごい楽しみですね。自分に変なプレッシャーとかは与えていないし、かけていないというか、本当に楽しみというのが今の自分の気持ちですね。やっぱり金メダルを取りたいという気持ちはもちろんあるけど、本当になんだろう、変にプレッシャーはかけてないですね。

 ライバルの橋本は得意の鉄棒の演技構成を変更した。「橋本大輝が世界一と思える演技ができたら」と闘志を燃やす一方で、岡の気持ちも高ぶっている。

 岡 僕が勝つ想定しかしていないです。やっぱり戦える状態でなければ勝てないので、準備の大切さを改めて感じています。準備から勝つ準備をしていかないと勝てないと思うし、大輝くんも勝つ練習はやっていると思うので、お互い譲らないでしょうね。まあそれが楽しいですけどね(笑い)。

 約4か月後のミラノ・コルティナ五輪では、22年北京五輪銀メダルの鍵山が悲願の頂点取りを狙う。岡は自身のパフォーマンスを通じ、高校時代から親交の深い鍵山に刺激を届けるつもりだ。

 岡 僕がまずは世界選手権で金メダルを取って、優真にいい流れをつくりたいですね。優真の原動力になるような結果をしっかり出して、優真もミラノ五輪でたくさんのメダルを取って帰ってきてほしいですね。

 さまざまな思いを背負って挑む大舞台。日本のエースは「岡慎之助」と再び世界に証明することはできるか。

☆おか・しんのすけ 2003年10月31日生まれ。4歳で体操を始めると、高校1年時の19年春に徳洲会へ加入。同年世界ジュニア選手権では団体総合と個人総合で2冠に輝いた。22年に右膝前十字靱帯を断裂するも、懸命なリハビリを経て復帰。24年パリ五輪は団体総合、個人総合、種目別の鉄棒で金メダルを獲得し、日本勢52年ぶりの3冠を成し遂げた。名前の由来はプロ野球・巨人の阿部慎之助監督で「スーパースターになってほしい」との思いが込められている。158センチ、58キロ。