阪神は22日のヤクルト戦(神宮)に2―3で敗れ3連敗。神宮の杜での今季最終戦を勝利で飾ることはかなわなかった。

 黄色く染まった球場の左半分が凍りついたのは2―2の同点で迎えた6回のヤクルトの攻撃での一幕だ。虎先発の才木浩人投手(26)は、先頭の内山に二塁打を許し無死二塁。得点圏に走者を背負い次打者・北村と対峙したがカウント0―1からのスライダーを弾き返されると、ライナー性の鋭い打球を避けきれず、白球は右くるぶし付近に直撃。背番号35は苦悶の表情を浮かべながら、治療を受けるため自軍ベンチへ姿を消した。

 数分後にはマウンドに戻り投球練習を開始した才木だが、すぐにスタッフへ何かを訴え自らマウンドを降りることに。自己最多タイとなる13勝目は4戦連続でお預けとなった。CSファイナルステージ(10月15日開幕、甲子園)へ向け着々と準備を進める藤川虎だけに、先発ローテの大黒柱である才木が長期離脱となれば一大事。右腕の交代を告げる球場内アナウンスに虎党たちも悲鳴も上げた。

 だが試合後の才木は「ちょっと腫れているくらい。別に全然骨とかじゃないので大丈夫です」と大事には至っていないと明言。「(続投も)全然いけたかなと思いますが、あれでまた打たれてそこで交代ってなったらリリーフに迷惑をかけるので。それだったら最初から代わるかって感じです」と説明した。

 藤川監督も「『マウンドに上がって、もし少しでも違和感があるようならやめておこう』と事前に(才木には)伝えていた」と舞台裏で起きていた右腕とのやりとりを明かす。「自分たちは向かうところがる。彼の個人的な目標もあるけど、チームと同様に進んでいるので。彼もあそこまでいって冷静な判断を下した」と才木の〝大人の対応〟を高く評価した。

 ハーラートップの14勝をマークしている東(DeNA)と、最多勝のタイトルを争っている才木(12勝)としては、何が何でも手にしたかったであろう、この日の勝ち星。それでも、ポストシーズンまで考慮に入れたフォアザチームの精神がキラリと光った格好だ。

 藤川監督も昨秋の指揮官就任以来、ナインのコンディション維持に注力。主力選手に目立った故障離脱者を出さなかったことが2年ぶりとなるリーグ制覇に直結した。「ケガなく、健康に」の火の玉イズムは、将来性豊かな若き右腕にもしっかりと受け継がれていた。