関東信越厚生局麻薬取締部は13日、コンテナに隠して貨物船で6月に密輸された乾燥大麻1・046トン(末端価格52億円相当)を押収したと発表した。1度に押収した違法薬物の量として過去最大となる。統計が残る1954年以降、大麻の年間押収量は1トンを超えたことはなかった。逮捕されたのはベトナム人密輸グループだが、どうして日本に持ち込んだのか。

 同部は麻薬取締法違反(営利目的輸入など)の疑いで、ベトナム国籍の自称リフォーム業ファム・ゴック・テゥイ容疑者(51)、無職グエン・チョン・ゴック容疑者(32)、ファム・フー・ドゥック容疑者(28)の男女3人を逮捕していた。このテゥイ容疑者を幹部とする密輸グループの背後に、国際的な密輸組織があるとみて調べている。

 コンテナは5月末にベトナムのダナン港を出港し、中国を経由して6月5日、東京港に到着。東京税関が調べたところ、「金華備長炭」と書かれた段ボール箱計1500個のうち、200個に約5キロずつの大麻が隠されていたという。〝泳がせ捜査〟で、栃木県の資材置き場に移送された後、同部が押収した。

 税関によると、2024年の1年間の大麻(大麻草・大麻樹脂等)密輸事件の摘発件数は390件で過去最多で、押収量は約344キロ(前年比約2倍)だった。大麻の仕出地別の摘発件数では、タイが47%、次いで米国が26%、ベトナムが10%だった。ベトナムから密輸される大麻も多いということだ。

 元警察関係者は「昨年、ベトナム国内で過去最多となる800キロの大麻が押収された事件では、11人が逮捕されました。タイの大麻合法化政策を利用して、ベトナム組織がタイに大麻農園を設立し、栽培した大麻を真空パックにしてお茶と偽りベトナムに密輸。ベトナムで加工し、ドライフルーツや乾燥タケノコなどと偽って、日本に密輸するというシステムが確認されています。日本の方が末端価格が高いためです」と指摘する。

 また、出入国在留管理庁によると、24年6月末時点での国別での在留外国人数として、ベトナムは中国(84万4187人)に次ぐ60万348人だった。日本国内にはベトナム人が多いのだ。

「ベトナム人犯罪グループとしても、日本の暴力団経由で日本人に販売するだけでなく、フェイスブックなどのSNSで直接日本にいるベトナム人に大麻を売ることができます。ベトナム国内では、大麻の使用、所持、売買、栽培はすべて違法ですが、バレにくい日本で使用することがあります。今回摘発されたグループはこれまでたびたび大麻を密輸し、慣れてきたので1トンという大量密輸を行ったのでしょう」と同関係者は話している。