【ニューヨーク州クーパーズタウン27日(日本時間28日)発】マリナーズなどで通算3089安打を放ち、アジア人として初めて米国野球殿堂入りを果たしたイチロー氏(51=マリナーズ会長付特別補佐兼インストラクター)が米ニューヨーク州クーパーズタウンで行われた表彰式典に出席した。「イチロー・スズキ」と名前が呼ばれると約3万人のファンから大きな拍手が送られた。英語で約19分間スピーチし、“イチロー節”に爆笑の連続だった。

 雨の影響で1時間遅れで始まった式典はデレク・ジーター氏(51)、エドガー・マルティネス氏(62)、ケン・グリフィー氏(55)ら過去に殿堂入りしているレジェンド52人が次々に登場し、1月に殿堂入りした選手がC・Cサバシア氏(45)、ビリー・ワグナー氏(54)の順で紹介され、最後がイチロー氏だった。

「日本生まれの選手として初の殿堂入り。お迎えください、殿堂入り選手のイチロー・スズキ」とコールされ、イチロー氏がネイビーのスーツ姿で登場すると大歓声。「イ・チ・ロー」コールも起こり、参列した弓子夫人も笑顔で拍手を送った。

ビリー・ワグナー氏(左)、C・Cサバシア氏(右)とともに盾を受け取ったイチロー氏(ロイター)
ビリー・ワグナー氏(左)、C・Cサバシア氏(右)とともに盾を受け取ったイチロー氏(ロイター)

 約19分間の英語でのスピーチは爆笑の連続だった。イチロー氏の得票率は99・7%で満票に1票足りなかった。「多くの記者の方々に(通算)3000安打、(シーズン最多の)262安打を評価していただきました。(記者の)皆さん全員に。1人を除いて」と話すと会場は爆笑に包まれた。

「ところで、(その)記者に私の家でのディナーをオファーしていたのですが、もう期限切れになりました」と語ると再び大爆笑だ。

 メジャーに挑戦したのは日本人メジャーリーガーのパイオニアとなった野茂英雄氏の存在があったから。「野茂英雄さんの勇気があったからこそ、『自分も、行ったことのない世界に挑戦してみたい』と思えるようになったのです。(日本語で)野茂さん、ありがとうございました!」

 マリナーズに続き、ヤンキースに感謝。「ニューヨーク・ヤンキースにも、感謝を伝えたいです。あなた方が今日ここに来たのはCC(サバシア氏)のためだと分かっています」と語ると笑い声が上がった。

 3番目に所属したマーリンズについて「正直、2015年に契約のオファーをいただいたときは、あなた方のチームの名前さえ聞いたことがありませんでした」とイチロー節をさく裂させると会場は爆笑の渦だ。

 最後は弓子夫人に向けた。「誰よりも私を支えてくれたのは、妻の弓子です。彼女はまさに私の人生で最も一貫したチームメートです」と感謝を伝えると引退後の秘話を明かした。

「引退して間もなく、弓子と私は『デートナイト』を過ごしました。私が現役時代にはできなかったことを一緒にしました。マリナーズの試合を観客席に座って、一緒に観戦したのです。アメリカ流に、ホットドッグを食べながら。野球人生を通じて経験してきたすべての出来事の中でも、最も大切な人とホットドッグをかじったあの時間こそが、最も特別な思い出です」

 野球選手として最高の栄誉を手にしたイチロー氏。「アメリカの野球殿堂に入ることは、私の『目標』ではありませんでした。2001年に初めてクーパーズタウンを訪れるまで、その存在すら知りませんでした。でも、今日ここに立っているこの瞬間は、本当に夢の中のようです。ありがとう」。拍手は鳴りやまなかった。