このまま白星を積み上げれば「戴冠」の可能性も十分だろう。日本ハム・達孝太投手(21)の新人王獲りが現実味を帯び始めている。今季3度目の西武戦(14日、東京ドーム)もプロ2度目の完投となる9回2安打1失点で無敗のまま6連勝。パ首位のチームを2―1の勝利へと導いた。度胸満点の強気な性格と長身を生かした剛腕を武器とし、初タイトルも視野に入ってきそうな勢いだ。

 試合後の達に喜びはなかった。完投しながらも7回に浴びたネビンの一発に「いや、ホームランさえなければ完封だったんで。だって(安打)2本ですよね。で、1本がホームラン…。最悪っすね」と表情をゆがめ、完封を逃した悔しさを吐露。その上で「今日は(相手の応援がすごくて)けん制したらブーイングがすごかったので。ちょっと楽しくなってきて、もう1球投げちゃいました(笑い)。もう一回(ブーイングを)聞きたいな、と思って。それぐらいの感覚だったので。そんなに追い詰められた感じはなかったですね」。

 新庄剛志監督(53)も「(達は)度胸あるでしょ。(ビッグ)マウス!」と太鼓判を押す。21歳とは思えぬ強心臓の持ち主だ。身長194センチの長身右腕はプロ4年目の今季、才能が開花。5月4日の西武戦(エスコン)で今季初勝利を挙げると、直後から白星街道を突き進み先月29日の西武戦(ベルーナ)では9回1失点のプロ初完投勝利で無傷の5連勝を飾った。

 こうなると、がぜん注目が集まるのが新人王争いだろう。今季パ・リーグは将来を嘱望される新人野手が軒並み躍動。中でも西武・渡部聖弥外野手(22)、楽天・宗山塁内野手(22)、ロッテ・寺地隆成捕手(19)は開幕直後からチームの主力として活躍していたことから、この3人が当初は有力候補と目されていた。だが渡部は打撃の勢いにやや陰りが見え始め、14日現在で打率は2割7分2厘にまで急降下している。宗山、寺地もシーズン中盤に入り、インパクトを残せていない。

 一方の達はスタートこそ出遅れも5月から白星を積み重ね、その勢いは増すばかり。しかも物おじせず、いい意味で大言壮語の性格として知られる右腕は今季の目標を「最低でも2桁」と公言している。昨季パ・リーグ新人王に輝いた西武・武内夏暉投手(23)は10勝6敗、防御率2・17でタイトルを手中に収めた。この調子を保てば10勝到達も夢ではなく、達の〝逆転新人王〟は射程圏内と言い切っていいだろう。

 首位快走中の日本ハムは3連勝で今季最多の貯金18となり、50勝パ一番乗り。波に乗るチームとともにファイターズ期待の21歳右腕も、驚異的なハイペースで日々急成長を遂げている。