阪神は11日の西武戦(ベルーナ)に2―3でサヨナラ負けを喫した。2戦連続で自慢の勝ちパターン継投陣が打ち崩されるショッキングな試合内容となり、交流戦初のカード負け越し。本紙評論家の伊勢孝夫氏は中継ぎ陣再整備の必要性を訴えるとともに、カード第1戦に潜んでいた「伏線」についても指摘した。

【新IDアナライザー・伊勢孝夫】側頭部への打球直撃で「脳振とう特例」により登録を抹消されている石井大智投手(27)の存在感の大きさが、皮肉にも今カードでは際立つ形となってしまった。佐藤輝の18号ソロでリードを2点に広げ、あとは最後の1イニングを抑えるだけ。この日こそは岩崎がクローザーとしてマウンドに上がると思ったが、阪神ベンチが選択したのは湯浅だった。

 ブルペン陣の起用の幅を広げたい意図もあったのだろうが、1安打2四死球で一死満塁。この場面で泥縄的に岩崎を投入した時点で、もう遅かった。12日ぶりの登板となったが、制球は甘く球威も感じない。左打者・源田に投じた内角へのスライダーを、右に大きく運ばれてしまったことが何よりの証左だ。

 シーズンの戦いは待ったなしで続いていく。新守護神の再選定が最優先事項とはいえ、これといった候補が思い浮かばないのが現状だ。内容の良さでは及川になるが、今季から本格的にリリーバーとしてブレークし始めたばかり。やはりここは岩崎の経験値に頼るしかないのか――。首脳陣は難しい選択を迫られることになる。

 もう1点指摘したいのは、左のセットアッパー・桐敷が打ち崩された10日のカード第1戦の継投策だ。6回無失点と好投していた才木は、94球と余力を残したまま交代。あともう1イニング、7回のマウンドも彼に託しておけば2夜連続で連鎖してしまった「ボタンの掛け違い」を未然に防げたような気がしてならない。ここは継投の難しさと繊細さだ。

 いずれにせよ石井不在の今は非常時。先発陣は少しでも長いイニングを投げ、中継ぎ陣の負担を減らすことができるように奮起してもらいたい。そして何よりも大事なのは打撃面で投手陣全体を援護することだ。西武投手陣の充実ぶりには驚くばかりだが、打線が2戦合計で4得点しか挙げられていない事実は見逃せない。

 見逃せばボールと判定されていたであろう高めの153キロ直球を右翼席まで運んだ佐藤輝のアーチには、今季の彼の成長が凝縮されていた。タイミングの取り方といい、安定したフォームといい申し分がない。村上(ヤクルト)、岡本(巨人)らのライバルが戦線離脱している今、本塁打王と打点王の2冠獲得はもはや彼の義務だ。

(本紙評論家)