【プロレス蔵出し写真館】5月11日(日本時間12日)、WWEが〝インディの帝王〟サブゥーが亡くなったことを発表した(享年60)。
サブゥーは今から33年前の1991年(平成3年)11月18日に、FMWに参戦するため叔父のザ・シークとともに初来日した。イスや机を効果的に使い、机に相手を乗せてムーンサルトプレスやギロチンドロップを放ち、ときに自ら机を破壊するパフォーマンスも披露。その破天荒なファイトがFMWのカラーにマッチして人気を呼び、常連外国人レスラーとなった。
転機が訪れたのは94年(平成6年)12月9日の後楽園大会。サブゥーはシークと組み、青柳政司&非道組と対戦した。試合後、突然シークがサブゥーに向かってイスを放り投げて、殴る蹴るの暴行。
「お前は破門だ。荷物をまとめて出ていけ!」。シークはそう宣告した。
〝追い出された〟サブゥーは、その日の深夜、なんと新日本プロレスの蝶野正洋と六本木の店で合流。〝まさか〟の新日への電撃移籍を発表し、翌年1・4東京ドーム大会で蝶野とタッグを結成して出場することを明かした。
もっとも、この移籍劇は大仁田厚も了承してのもの。サブゥーは大仁田に話を通して、シークと3人で会談して〝新日移籍〟の意思を伝えていた。
サブゥーは「ミスター大仁田は自分の気持ちを理解してくれた。今でも最高のボスだったと確信している。日本での名声はミスター大仁田のおかげ。だけど、プロとして新しいことにチャレンジもしたい。ミスター藤波(辰爾)とも戦ってみたかったし、あの(タイガー・ジェット)シンに勝った越中(詩郎)にも興味がある」と打ち明けた。
サブゥーに引導を渡したシークの行動は、〝はなむけ〟のパフォーマンスだった。
サブゥーは11日の新日・名古屋大会で蝶野VS平田淳嗣戦に乱入して顔見せを果たすと、24日には平成維震軍の後楽園大会で越中とシングルで対戦し、新日〝デビュー戦〟を行った。
本番の1・4ドーム大会では藤波&平田組と対戦。サブゥーはリングに投げ入れた机に平田を寝かせるとコーナーポストにイスを置き、さらにその上にもう1個イスを設置して、すばやくその上に飛び乗りギロチンドロップを見舞うという荒技を披露した。のたうち回る平田に蝶野がケンカキックを叩き込み、あっさりフォール。見事に初陣を飾ったのだ。
さて、サブゥーが新日へ移籍して活躍するきっかけをつくった蝶野は、今回の訃報を聞いて――
「オレとはスタイルが違うけど全然、違和感はなかった。身体能力が高い選手だったから正統派レスリングもできるし。ケガに対する恐怖心をまったく無視してたよね。パフォーマンスひとつ取っても、見せ方が違う。アリーナの空気とか、そういったものを捉えながらやる選手で、オレもハウスショーとかになると、まったく気を使わず任せられた。ムード、ペースをつくって客を沸かせるから、なにも考えずにリングに上がれる最高のパートナーだった」と絶賛する。
「(初陣のドームは)ずっとアメリカでもインディーでやってきて、デカい会場の入場ってのは多分、初めてだったんじゃないかな。すごい緊張してるのがわかった」と振り返る。
「面白かったのが、(入場ゲートから)オレらがパッと出て行って、そこでサブゥーが人さし指を上げるポーズを取った。そのとき火花が出る演出があって『パンパン』って(音が)鳴った。するとサブゥーはパッと(身を)伏せた。『どこかで銃が!?』と思ったようだ。あいつ、危ないところで生きてるから習慣で〝銃声が鳴ったら伏せる〟っていう(行動をとった)」(蝶野)
「ただ、サブゥーがうまいのはヒザをつきながらアラーの神に拝んでるポーズを取った(写真)。その後、人さし指を天井にさすいつものポーズを取って、ゆっくり立ち上がって上手にごまかしてた。オレ、真横にいて笑っちゃったけど、その臨機応変さに〝あぁ、こいつすごいな〟と思った。本人は苦笑いしてたけどね」と笑う。
「2019年の11月に、アメリカで行われたOB会(ペンシルベニア州フィラデルフィアで開催されたイベント)で会ったのが最後だった。あいつもたばこ吸うんで、2人で外に出て一緒に吸ってた。なんか似たようなところがあったね。サブゥーにはいい思い出しかない。突然、一緒に組んで、オレも方向性が決まってなくて彼は彼で、(インディから)急にデカいとこ来て、多分迷いがあったと思う。そういう2人が短い期間だったけどタッグを組んだ。彼はひと昔前のレスラー像を大切にしてる仲間だった。多分、体中ケガだらけだったと思うけど、引退のけじめ(今年4月18日にラスベガスで引退試合)をつけて(リングから)去って行ったのが救いだったのかなと思う」と目を伏せる。
「プロレスがものすごい好きだった。愛してた。年がひとつしか違わないから(※蝶野が1歳年上)オレ、サブゥーは弟みたいな感じだった」。
蝶野はそう言ってサブゥーを偲んだ(敬称略)。【プロレス蔵出し写真館】の記事をもっと見る













